夕映えを背にしたひとつの窓の灯がともるのを見る消えるのを見る
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手持ち花火の遊び方分からない 火を繋いでくゲームはじまる
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朱が夜に 染まる境は ビル群の狭間 ちょうど僕の真上に
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誕生日 3の数字の風船が静かに揺れるみんな寝た後
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醜さが表に出たら嫌だから無言でみじん切りして耐える
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Xを見ているヒマがあるのなら一つでも多く短歌を読む
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生きつつも死につつもまた生きつつも生死の間さまよう今日も
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酷暑から猛暑になっただけなのに秋の気配を感じてしまう
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悠久の富士の裾野の湯に浸かる たかが五十年いそとせ お裾分けにて
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懐かしき未知の昭和はどんな時代? 何も知らぬよ末期の生まれは
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雨上がり雫たたえし露草の青を愛でをり晩夏の朝に
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ショウヘイの記録みたいに言われても嬉しくはない50-50フィフティフィフティ /今年の猛暑日-熱帯夜
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休日は海を見に行く たくわえたパワーが枯れてまた海を見に
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レシートがしおりがわりの我が読書トマト玉ねぎ豚肉チューハイ
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輝いてばかりいないでぼくの話すこしは聞いて、ビニール傘
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秋刀魚焼き大葉におろし届ければ 喜ぶ義母ははによろこびもらい
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ひねくれているのはついにおまえだけ こんなことをいうひともいなくて
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屋上で風にあおられ乾く布軽くなるたび熱をこぼした
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金沢の公園脇のイタメシ屋 ハッピーアワーでフルボトル呑む(スパークリングワイン)
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明けの星空白む頃ラジオから昭和歌謡の明るい調べ
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大寺の瓦や黒し秋烏 飛ぶ虫を喰むせわしかふもり(金沢で酔っ払った)
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歌人の夢や日常つつみ込む漫画を誰か描かないかな
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ぎゅうぎゅうに 詰め込まれたる 車内から 助け求める 歌詠んでみる
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ご無事でと 見送る背中 けし粒に ただ恋しくて 目をこらしつつ
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紫に朱の差し色や宵化粧 峰みねを染め月を待つらむ
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好きでした、が言えなかった。だってさ、私と同じ女の子だもん。
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膨大な宇宙の隅の午後7時 はちきれ客車で吾すしとなる
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青天の 霹靂へきれきそらを引き裂いて ほとばしる雨 夏押し流す
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還暦を前に思案すボーダーは卒業かしら継続かしらと
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向日葵の種の落つ 残暑は座る 秋の領域テリトリーより 去らぬ夏
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