見逃したあなたの寝顔悔しくて今日の夜更かし決めた朝なり
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慎ましき 額紫陽花が雨に濡れ 梅雨入り間近の季節となりて 
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達筆で 短歌が趣味な 元部下に 歌で気持ちを 詠めたらいいのに
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家を捨て世を捨て流れ公園にホームレスのホームのない人バラを見ている
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飾らない 素のあなたに 会いたくて 森のカフェでの ピアノの響
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月・金の出勤を軸に時ながる。ジャケットを脱ぎさあ衣替へ
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好む歌何の因果か哀し歌はてさて今生謎は解けるか
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ようつべのお薦めに出た歌を聴く眠れぬ夜の雨降る永東橋
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歌詠むは対話なんだと合点する天井見上げ自分とじぶん
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堤防のシロツメクサが言ってたよ落ちたところで咲いているんだ
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午前二時右の寝息は語らずに歩んだ記憶左の吾に
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冥土川めゐとかわ わたりしなせそ かゑ われかなしみの こゑこゑなば
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不器用にむかれたじゃがいもの皮を生ごみまたは愛と呼びます
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叱られて伸びたうどんにからまったわかめがどうもどうも黒鍵
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あの人がきょうも定時で帰るからマトリョーシカをひとつ取り出す
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全力で回すアリスのティーカップ熱い紅茶を注ぐまで3
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水道の蛇口をひねりキッチンの排水溝にあふれる怠惰
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土曜日に虹を越えるよ。まだ誰も知らない色があるんだ、そこに
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石鹸は変わらずそこにいた父が死んだあの日と同じサイズで
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おれんじがささやいているたくさんのいのちを殺すざいにんになれ
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消防車けっこう近所で停まりたり 気になり頓服飲んでも眠れず>2時だよー😓
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銀行で警官と居る老紳士札束盗られ寿命縮まる
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珍しく晩酌をしたその夜に父の訃報の電話が鳴れり/五月三〇日
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離れても君の幸せ願ってる これがホントの究極の愛
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十六時 シャッターの下りた市場は 一足先に夜を迎える
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鮫の群れ空を横切る雨の日のヘッドライトは深海魚の目
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一日の 終わりにモップ かけねばと ついつい時を 先延ばしけり
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コーヒーの 飲み方一つ 変わるとき 季節が変わり 月日が巡る
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「君はさあ、」 レジ袋みたい 踊らされ 空っぽでいい どうかこの手に
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私には 時々貴方の 優しさが 心ざわつき 悩みに果てる
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