雷鳴が 曇天の空 轟きて 燕も我も 軒にて宿り
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愛猫との暮らしをアップデートする ペットカメラとか 夢のまた夢あったらいいなぁ
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「トイレには 神様がおんねん」という母の 手に彫られた 皺の深さよ
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書斎からあふれた本がキッチンの生態系を壊して殖える
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過ぎたこと気にしないのは良くないと言われたことが今も気になり
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いのちには 別状ないと 言われても このドキドキは 治せませんか
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五月雨さみだれの肌寒き昼 老犬と 畳の上に添い寝すきみ
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雨の日はただ玄関に居続けて所在なさげな散歩に履く靴
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ブラインドはまだ閉めないで日差しに 踏まれたい蜘蛛がいるから
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今夕は焼き鳥に母をエスコート 飲み代のみしろ含めて一人二千円(ほど)
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ちま猫ちゃん よるのねんねの おきにいり おかあちゃんの あんよをまくらよ
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女子の日と女子の日の真ん中あたりにて 筋腫ちゃんがいつも自己主張( イタイヨー)
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田の景色知らずに育ちし吾なれど海馬に在りて水張田に鷺
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瞬きを皮膚がどこかも分からなくなって狂ってしまうほどして
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生きる短歌うた 浮かばせそこねて 瀬に沈む 起承転転 いな、七転び
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ラテ風に アイスに煮物 炊き込みご飯 黒豆煮汁 その一滴まで
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雨よりも四月の冷えに面食らいおかず味噌汁あんかけに添え
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涙拭く 繋がった手のままならば 鶴の余韻と立夏の音よ
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知れた数幾十億の俺たちは星の数にも負けてるし
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皆の歌行った景色や食べたもの空気の香りも共有してみる
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2mそれだけの距離の恋なのに脳裏にうつるはあの人への微笑かお/私にはそんな顔しないのにね
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何事も保護費の中で判断し『贅沢』にならぬ楽しみを探す
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駅前の新規オープンカルディに行きたい自分と拒むカラダよ/だるい&雨
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ネモフィラの青が殖えゆく鉢 いつか家一面に咲くを夢想す
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かすみ草のやうなる声で詠みたしと思ひ募りて水やり過ぎぬ
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杖ついて駅迄の道風を浴び登校の子に追い越されつつ
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タクシーを呼ぶか迷える 駅迄は車十分徒歩1時間
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ドーナツの240度分食べ残す始発便窓際席/みずほ
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身支度のところどころに煙草の香亡父ちちの記憶がそうさせるのか/帰省の朝
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人として生まれて生きて人生は人に生かされ人を生かして
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