夜半よわの雨 居座る残暑 流し去り 大地に秋の涼を届けり
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生穂村妻に許可とり出遅れて恨みにおもふ箱の小ささ
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そっくりなふたりのあいだに横たわるほとんど見えないキリトリ線
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久方の 木々と苔庭 映えるカフェ 貴女の笑顔と 優しい音色
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夕焼けと ピアノ流れる 古民家で 苔のむす庭 紅茶と眺め
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豪雨過ぎ 雲間の光 差し込めば 水鏡なる 街路のきらめき
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ありましたママの会社のカードキーなぜか黄色い君のバッグに
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歩きたし白川郷の秋の道 右膝小僧の注射針見つ思ふ
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安眠を襲う夜中のイカズチに目蓋の重き笑顔がゆがむ
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穫れたての 新米の湯気かほり立つ 鰯一尾も至福の朝餉 
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「本当に俺のこと好き?」と問えぬのは漫画のラストを読みたくないから
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生命に振り回されて理性しか信じられない 愛は来世で
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菓子くれる ババァに菓子を 配ったら 怪訝な顔で 俺の顔見る
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始末書を 3回書いたと 自慢する 先輩の横 10回の俺
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眠れず夜中にミュートメッセージ 「ずっと好きでした」 台風の夜
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にこやかで せいかくよくて もてるよね のーめいくだと だれもいわない
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濃紺の 世界に私 ただひとり 似た色を持つ 君だけが好き
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おけいはんも しんと静まり 鈴虫むしのみ 朧月ゆえに なほあはれかな
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大粒の 雨が一気に 降ってきた ああ、家の窓 開けてきちゃった
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こっそりね賢い知恵を集めてね作っているんだ賢者の石を
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見てみたい夜空がパァッと輝いて何処かに転がる奇妙な石を
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東京で雨災害が報じられ天気は誰にも差別容赦無い
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半紙って折っても定型封筒に入らないのよ定型歌だよ
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十二時で照明落ちる自販機で犯人みたいに小銭を照らす
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おい終われ 目だけの駆け引き 追い追われ
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雷鳴とリミックスする室外機 設定温度を1℃戻して
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君の名を 軽い気持ちで 呼びかける 「奈々さん」「はいよー!」と ノリ良く返る>LINE公式アカウントのお遊び(笑)
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淡き雨 戯言ざれごとさえも 信じたよ 冷えて気づけば 傘を探して
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水道のチョロチョロ見つめ触れてみて頭にかけて舐める猫かな
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停電と 雷鳴の中 稲妻でトランプゲーム 懐かし記憶
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