Utakata
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瑞乃ゆみ
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雨降れるしづかなる世界にただひとり傘のうちには終はらぬ絵巻
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色々な人の思考を飲み込んで変質する我はプラスチック
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わが
身体
(
からだ
)
を成す細胞はぽろぽろと崩れてこの世の一部にもなれず
5
物語終わるも彼らの生は続くわが脳に
2cm
(
2センチ
)
ほど間借りして
6
気まぐれにみた駅伝の走る音積み重ねていく音、心地よく
9
ためらいなく席を譲ったあの人の綺麗な横顔が眩しかった
8
風過ぎて樹の形そのままに落ちた葉は薄青のたましいの抜け殻
7
電車にてスマホの画面にうつりこむ小さな雲らをぼうっとみつめる
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きみといる心ほどけるこの空間これがわたしのしあわせなのだ、と
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寝坊してメイクも途中で出てきてもそれを遠慮なく言えるしあわせ
9
蜜柑の木に烏飛び乗り
烏珠
(
ぬばたま
)
の黒い瞳がゆれる昼下がり
6
大歓喜の日本一から一夜明け 空からも祝いのビールかけ
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声援でビリビリ揺れる家、我らと歴史を揺らした選手たち
9
よく夢にみるふるさとの道をまた歩いた日それもまた夢かと
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もう知らぬ街だと思ったふるさとは変わらぬ顔で迎えてくれた
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いつまでも胸の内にはめいっぱい駆け回るきみ撫でられるきみ
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散歩中いつもの花壇覗き込み朝露光る葉に吸い込まれる
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雨の音だけが小さく響く朝靴音鳴らし瞼を閉じる
5
普通列車に揺られて帰る満ち満ちた心が零れて夜に浮かんだ
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通り雨仰げば太陽に照り映えて 大切な荷物抱えて走る
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四年ぶり友と再会するも雨 手をとりあって駅へと走る
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見上げると複雑に絡む電線 幾多の営み日が落ちてゆく
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魂の容れ物深く眠ってた 長かった、でもようやくここまで
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鳴き尽くした蝉そこここに落ちていて翅だけ残し砕けゆく夏
3
カート引き歩く後ろでクシャクシャと枯れ葉あやめる音が聞こえた
8
でこぼこの地面を確かめるようにきみと歩いた道踏みしめる
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じっと地面見つめて歩く己という器の中を歩いているよう
7
ひこうき雲私の
澱
(
おり
)
を乗せ忘れ三つそれぞれの空へ消えた
5
旅立った瞬間に間に合わなくて きみのたましい翳りなくあれ
3
見上げれば枝切られた木の影濃くきみがいる気がした黄昏時
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