Utakata
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瑞乃ゆみ
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折り鶴の真白は夕焼け恋ひながら味噌汁に立つ湯気をまもらふ
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この象はきみのやさしさの形だと微笑むきみが持つ哲学書
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澄みやかなこころの種を植ゑてゆく世界が花で満ちゆくやうに
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絵の中のちひさなる手の持ち主は泣くわれの手を強く握れり
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鳩の群れに幼子追はれ泣きにけり親に抱かるる平和公園
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まつげ伏せ幾度も撫でるやはらかな愛犬の眉間思ひ出す夜
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文
(
ふみ
)
かはし互いのたましひの欠片を抱へてけふも「わたし」を生きる
20
嬰児
(
みどりご
)
のやうなる無垢をひとかけらブローチにしてそつと胸へと
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ラムネ瓶割りて集めし硝子玉冴ゆるわが水晶玉なりき
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ちひさき手さまよひながら本めくる 其より始まるこの生の記憶
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素数とは如何なる数か知らざりき密かに憧れたる其に泳ぐ
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陽をうけて歩きをりしに萌え出でし歌の芽スマホにそと育てゆく
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差出人不明の古き茶封筒開けば
朝
(
あした
)
の道は変はらむ
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極寒のさやけき夜空飛ぶはまだ知られぬペンギン真昼の夢の
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湖底なる幾夜もの光の墓標まもらふきみは木蔭で咳をす
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この耳にだけ届く歌のやうなるきみの瞬きは夜空へ消えぬ
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病院の冷たく光る薄暗き廊下を見つむる五歳の瞳
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この気持ち撃ち尽くし黒く染まりたる紙、薬莢とともに消えゆく
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梅が香てふ練り香いかに薫らむと思はず出でしつばき飲む夜
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息をするさへも躊躇ふ葡萄酒のごとき言葉に包まれしとき
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幾千の針も隙間なく刺しゆけばまるくならむと笑むきみと生く
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狼の遠吠え響く我が身体今すぐそこへ駆けてゆきたし
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もれ出づるあの月影を飲み込まば透きとほるほどやさしくならむや
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扇子見るたび思ひ出すフィラメント幾千といふ挑戦の先の
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ネモフィラの青が殖えゆく鉢 いつか家一面に咲くを夢想す
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かすみ草のやうなる声で詠みたしと思ひ募りて水やり過ぎぬ
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ドーナツを分け合うときはいつだって穴をとってゆく人だったね、と
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歩きつつ見上げたる空は花曇りわれまだ見ざる桜そに見ゆ
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一人だけ昇格できぬままいつか褒められし笑み落つる夜の海
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聖なる夜そと放たるる詩にみなの吐息がとけてゆるやかに消ゆる/連作「朗読会」③
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