Utakata
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瑞乃ゆみ
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焼きプリンカラメルを少し残す夜かの地の涙の苦きを思ふ
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素粒子までほどけた「私」でもきつと同じ選択をするのだらう
16
旅の空懐中時計の古りがたき音しづかなる甘き涙へ
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のこされたスケッチの山を詰め込みて旅立つありしきみを
訪
(
と
)
はむと
19
密やかにそぼ降る雨の響くとき凪ぎゆく心が求むる本は
16
後ろ向きでもいいとあの頃の
吾
(
あ
)
に各駅停車の切符を渡す
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いつかの日拾ひしうつくしき羽は大事に仕舞はれ羽ばたけぬまま
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薔薇きけばまして偲ばゆうるはしき館に密めくをとめの茶会
17
この涙あはき三日月縁取りてきよき影落つる
可惜夜
(
あたらよ
)
をゆく
16
明日もまだわが花園が狭くとも変はらず笑顔をくれるだらうか
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チーズ食むひとときパリのアナトールわが自尊心ゆき惑へるに
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天国より越え来し小鳥軽やかに虹の彩り縷々と響かす
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折り鶴の真白は夕焼け恋ひながら味噌汁に立つ湯気をまもらふ
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この象はきみのやさしさの形だと微笑むきみが持つ哲学書
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澄みやかなこころの種を植ゑてゆく世界が花で満ちゆくやうに
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絵の中のちひさなる手の持ち主は泣くわれの手を強く握れり
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鳩の群れに幼子追はれ泣きにけり親に抱かるる平和公園
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まつげ伏せ幾度も撫でるやはらかな愛犬の眉間思ひ出す夜
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文
(
ふみ
)
かはし互いのたましひの欠片を抱へてけふも「わたし」を生きる
17
嬰児
(
みどりご
)
のやうなる無垢をひとかけらブローチにしてそつと胸へと
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ラムネ瓶割りて集めし硝子玉冴ゆるわが水晶玉なりき
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ちひさき手さまよひながら本めくる 其より始まるこの生の記憶
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素数とは如何なる数か知らざりき密かに憧れたる其に泳ぐ
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陽をうけて歩きをりしに萌え出でし歌の芽スマホにそと育てゆく
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差出人不明の古き茶封筒開けば
朝
(
あした
)
の道は変はらむ
15
極寒のさやけき夜空飛ぶはまだ知られぬペンギン真昼の夢の
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湖底なる幾夜もの光の墓標まもらふきみは木蔭で咳をす
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この耳にだけ届く歌のやうなるきみの瞬きは夜空へ消えぬ
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病院の冷たく光る薄暗き廊下を見つむる五歳の瞳
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この気持ち撃ち尽くし黒く染まりたる紙、薬莢とともに消えゆく
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