瑞乃ゆみ
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92

よろしくお願いします。

海の底丸まり寝ゐる怪獣の氷涙ひるいを食めるちひさき魚
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賑はふ店ひとり食めれば我とけてシェイクがからだに甘く満ちゆく
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ぶだうパン食めばおぼゆる小公女かのパンはさぞ甘かりけむや
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さざんくわのくゆる匂ひのすくへるを眦に引けば零るるあか
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硝子玉にコーティングした心ゆゑ月のひかりもはじいてしまふ
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あの夏の記憶凍らせ眺めをりもし溶けたらばきみは消えぬべし
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受け取りしひかることばを蓄へつつ軽やかにその海泳ぎたし
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その軽きことばは鈍く降り積もり其より抜くれどまた降り積もり
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リコーダー吹きながら歩く帰り道練習中のうぐひすが鳴く
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生まれてもゐない時代のあの家に泣きたいほどに帰りたかつた
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いくつものひかりの扉が待つてゐる図鑑を抱き眠つたあの日
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心の内のやはきところを差し出して日向ぼこするやうに話す日
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この泪こぼるるを飲みし不死鳥は燃え立つ西の空へと消えぬ
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降りしきる言葉のうちに立ちすくみ祈りと呪ひを取り違へし
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一心に団扇であふげる酢飯より立ちのぼるにむせしあの頃
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ばつさりと髪を切りし日首筋をかすめし風はのよだかなりき
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T. rexの歯のレプリカが震へる 夢で出逢つた恐竜たちは
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ゆびさきが凍星のもとゆるやかに透きとほりゆきやがてすべてが
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東雲の刺すやうに光る空をみて夕べのわれが泪を零す
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ベランダに蟬倒れ伏しぬ雨の日も見ずかありなむその一世ひとよ
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仄かなるはなびらのうちに差し入れし指透きとほりゆけば冴ゆる花
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風鈴が勢ぞろひの空鳴り響く夏よ夏よとせかるるやうに
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日記てふ外部記憶はわたくしの形を撫づる水泡みなわの記憶
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きみがこぞ読みける物語のやうに永久とはなる旅をきみとぞしたき
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幼子が目に映るせかいのかけらをちひさきリュックにすくひ入れをり
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たんぽぽの綿帽子らのささやきにそよと吸ひ込まれゆく白き蝶
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わが足のつち踏む草鞋わらぢのやうな音 遥けき昔もかく歩みけむ
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今日もまた記憶の浅瀬にて逢はるるきみの姿をいだきて生きむ
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おほきなる鳥わが腕を掠めしとき祖の恐竜立ちあらはれたり
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真白き雲みなの思ひを吸ひ込みてふわんふわんと丸くふくれゆく
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