瑞乃ゆみ
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よろしくお願いします。

心の内のやはきところを差し出して日向ぼこするやうに話す日
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この泪こぼるるを飲みし不死鳥は燃え立つ西の空へと消えぬ
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降りしきる言葉のうちに立ちすくみ祈りと呪ひを取り違へし
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一心に団扇であふげる酢飯より立ちのぼるにむせしあの頃
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ばつさりと髪を切りし日首筋をかすめし風はのよだかなりき
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T. rexの歯のレプリカが震へる 夢で出逢つた恐竜たちは
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ゆびさきが凍星のもとゆるやかに透きとほりゆきやがてすべてが
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東雲の刺すやうに光る空をみて夕べのわれが泪を零す
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ベランダに蟬倒れ伏しぬ雨の日も見ずかありなむその一世ひとよ
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仄かなるはなびらのうちに差し入れし指透きとほりゆけば冴ゆる花
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風鈴が勢ぞろひの空鳴り響く夏よ夏よとせかるるやうに
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日記てふ外部記憶はわたくしの形を撫づる水泡みなわの記憶
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きみがこぞ読みける物語のやうに永久とはなる旅をきみとぞしたき
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幼子が目に映るせかいのかけらをちひさきリュックにすくひ入れをり
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たんぽぽの綿帽子らのささやきにそよと吸ひ込まれゆく白き蝶
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わが足のつち踏む草鞋わらぢのやうな音 遥けき昔もかく歩みけむ
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今日もまた記憶の浅瀬にて逢はるるきみの姿をいだきて生きむ
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おほきなる鳥わが腕を掠めしとき祖の恐竜立ちあらはれたり
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真白き雲みなの思ひを吸ひ込みてふわんふわんと丸くふくれゆく
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今われは生きているのだとふいに思うたとえばバスに揺られるときに
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オーケストラ ソリストの弓は空を裂く気高き龍が立ち昇るごと
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透きとほる水、日を慕へばテーブルにうつろふ虹のまどかなるかな
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車の下しづかに咲ける花たちのちひさきたましひ世のあはひに立つ
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荒れ狂ふ波に飲まれじとおほきなる白き翼になる夢をみる
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天の原昏き雲ぞ掃き出でらるるちひさきちひさき三日月冴ゆ
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雨降れるしづかなる世界にただひとり傘のうちには終はらぬ絵巻
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色々な人の思考を飲み込んで変質する我はプラスチック
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わが身体からだを成す細胞はぽろぽろと崩れてこの世の一部にもなれず
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物語終わるも彼らの生は続くわが脳に2cm2センチほど間借りして
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気まぐれにみた駅伝の走る音積み重ねていく音、心地よく
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