生と死は生と死として生と死のどちらに心引き締まるのか
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ラーメンを続けて二日食った後 煮物の味が分からず焦る
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白色のスケッチブックを汚せずに 加筆できない過去を生きてる
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密やかに文化なるもの永訣し滑稽な世に澄まして混じる
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稼動する他人の生をあまた観る老い始めても止まぬ業あり
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けば どこか心が ざわつけど  杞憂きゆうに過ぎぬ 幸せとなれ
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寒けれど 寒さの中に 風情あり  ため息一つ 気霜きじもに変わる
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かんばしく 色鮮やかな 草餅を  こしらえ送る 九十の祖母
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家族でのイベントなりし餃子包み 今はひとりで老い二人分
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雨と恋 ふるかふられるか それだけの違いなのにさ、なんで涙が 
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終業後「ほしい一首ピース」と格闘す外は強風シナプス燃やし
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題∶「納期の返事」  進捗を  問われるたびに  揺れ動く  まばたき語る  不吉な兆し 
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雀二羽 ぷっくり膨らみ 植え込みに 天敵のない 青空のもと
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記念日に 親孝行にと 花束を くれたいろいろ 少しは返せた?  
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背後母 兄弟たちで ゲームする 皆こんなに 大きくなったよ
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聳え立つ 頂上出づる 日の出背に 鷹の麓に ナスの煮浸し
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帰り道 友と古着屋 来てみれば 安値だけが 目につく私
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悲しさとは 笑顔があるから あるのです 世界が途方に 暮れてしまっても
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おひざはね さいこうなのよ やわらかくて あったかくって ねこの しふく至福
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日々追われ中途半端な子育てもははの愛にて子等健やかに
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やわらかに 愛するみたいに 軽やかに わたしの生を抱きしめたかった
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初春のカラオケ始め誘われて「さもありなん」といそいそ出向く
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「わたしのお母さんはおばあちゃんです」ちょっと恥ずかし次女の作文
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今は無き仕事は「写植」子育て期 追い立てられし日々の懐かし
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ドビュッシー 太宰治へ 凡人の 嫉で喚いて好意で泣いてる
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江の島に春訪るる如 咲きぬ睦月の ウインターチューリップ
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卓上を 彩る真紅の ポインセチア  ひとひら葉落つ 感じる命
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はりぼての足でこのまま駆けてってほんものを見たい ぜんぶぜんぶ見たい
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風一つ若葉香ってランドセル掲げし子ども足取り軽く
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美術館歩き疲れてくたくたよ明日は寝るぞ思う存分/大塚国際美術館
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