歯車の数千が回る目の前のあらゆることが余りにもわかる
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無理やり詰め込んだ想いの外装ぐらいはちゃんと規格通りに。
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冷える夜に扇風機から流されるアロマジュエルの良い副流煙
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七時から十一時までは四時間で連絡先は聞けないままで
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吹き出しのマークが消えて連絡が途絶えぬように電話をかける
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刺激的とは程遠い日々だけど耳をすませば凪を感じる
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「次は二ヶ月後ですよ」と言われふと半袖を着たあの人思う
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浴室に干すはずだった干し物は私の部屋でだらりと憩う
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窓を抜け排水口を流れ落ち水路にたゆたう俺の憂鬱
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外れても大事にしてる長方形 「がんばれ!」の文字捨てられないなぁ
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行事行かず 一番好きな子 連れてって 二人だけの 校外学習
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トローチの口移しまでしたくせにプラトニック・ラブとか言わんといてや
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二十の年幅 彼の笑み そんな奴に 死にそうくらいな恋をした
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そのやうにde-odorantを経たこへになどてかてふの寄らむと花は
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妻や母でなければ良かったのかな いいえそれでは出逢えなかった
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往来の絶へた通りに立ちすくむ此処で幽鬼になるのだらうか
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虫愛づる 君を横目に 虫食べる 虫への愛の 方向の違い
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母になり 前へと進む君をみて 後ろで手を振り 心で叫ぶ
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両翼を動かせる 君のことは光の中に埋もれさせる
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菜の花は しぼむ頃今日 雨が降り 花の気持ちを 汲み取ったひと
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はるとなり 梅や桜は 花開く 時は同じく 冬は霞んで
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母の「子」であったと想う暇もなく せわ忙しく過ぎる「母」である日々
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目の前で ラーメンすする君の頭 この関係の 一番近い距離
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空白み 夏のはじまる 気配して 動き出したる 命の息吹
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褒められた言葉と記憶を杖にして 歩いていきたい行けるとこまで
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正しいだけのかみさまが消えたから夜じゃなくてもキスができるよ
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力んでた身体からだで壁へ寄りかかる ほんとは一人じゃ何も出来ない
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あの歌が語る「僕らは独りじゃない。」僕「ら」がいない私の前で
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俺の子を 産んでくれってえてたら どんな幸せ未来が 見えたのだろう
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大丈夫か?人事に心配されるのは 「君、要らないよ。」クビ宣告よ
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