むなしきは生そのもののさだめかはしらずあしたはあすか・飛ぶ鳥
4
植え替えて 枯れたかに見えたアロエ株 見事復活 底力見る
22
光栄で溺れそうだと呼びかける 河童の皿に水を足しつつ
23
連れ添いし妻に白旗上げた時 こころ平安楽しき余生
27
送り迎え 自転車で来る お父さん 後ろの子どもの 手足は長し
11
階段で 行くと言い張る 孫つかみ 離さぬばぁば 塾は六階
18
来世にはデンデンムシに生まれよう持ち家なのに税収めない
14
石段を登りきったら山門の中はただただ紫陽花の苑
17
梅雨空に紫陽花見つつ路地往けば心ばかりは晴れる気がする
11
無縁と思えた 早寝早起き 苦にならず 老いの恵みに 今日も感謝す
15
ここが事件現場だったと知っている私以外にあなたがひとり
6
山里に鳶の鳴く声山彦の応ふる声に心和みぬ
6
あと何度梅雨入り、明けを迎えるか 毎日晴れの天国憧れ
18
雨模様 浮かび上がるは 鮮やかな 紫陽花たちと ひと時の集い
6
頼むから鳴らないでくれ腹の虫 「いいや無理だねオーケストラだ」
8
同じ場所 同じ色に咲きぬ紫陽花 変はらぬ家と 変はらぬ庭と
28
曇り空今朝はやたらと賑やかに鳥たち交わす声のいろど
20
客のなき 応接間では 開かれた 楽譜とピアノが 弾く者を待つ
11
玄関に 掛かるウミガメ ガラスの目 故郷の海と 砂恋しがる
11
めづらしきもの見る心地すなる朝 街や人やら早起きにして
12
方言を 知らぬ子どもに 民謡の 「弥勒世みろくよ」は ミルクをゆがく
7
梅雨入りのニュースを聞きて空眺む 何故か心も雨模様へと
18
赤ちゃんは 黒目しかない 目で笑う そうだこの目は 子犬と同じ
11
野分け去りまたのあしたの静けさに厚雲仰ぐ紫陽花の色
30
大フィルのラフマニノフを導きて 七十八の尾高が躍動
18
アンデスの天くコンドル巌しき眼見渡す先に群るるビクーニャ
4
待ち望む 菜園潤す台風の 連れ来る雨は恵みとなりぬ 
22
「おやすみ」と嘘ついた後、遠回りしてから食べるとんこつラーメン
8
ねえちゃんは しっかり者だ 前に立ち わたし一寸ちょっと  横をかすめり
14
さよならを 言える時まで 遣り合いて 俗世を巡る 最期の時まで
14