トラックに 積まれし家具の 悲しけれ それにつけても 早期復興
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君 捨てたもうなかれ 泥だらけの写真 それにつけても 早期復興
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真夜中にチャイムが鳴って五限目の終わりに気づくが問いはさらに増えて
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夜はいまだに冷え込んで 温めたミルクで ひと息つく春分
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こっそりと 買った百円 プレゼント 手渡すところ 見つかりました
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水温み 春が背伸びを するように 空も草木も 背伸びしている
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厭ァなわだかまり飲み込んでも頭かち割る糞野郎!部屋のドアはとうめい心は見え透いてる
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主なき隣家の壁は剥がれ落ち竹は伸びゆき叔母を困らせ
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ホームランをみていた時に歯が抜けて「行かずに済んだ」と祖父は微笑み
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泣かないで かがやく昼の庭を降り夜の玉座をえらんだ月よ
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桜 ただそこで咲いててそれだけできみと別れる口実になる
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金継ぎとタイルで埋めた心の傷 死ぬ頃にはモザイクアート
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胸をうつ めいっぱいの愛を 口にする その方法を 忘れてしまった
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在りし日の 父写る地図 新しい道ができても更新不要
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天仰ぐ 人波 桜 咲き乱れ 君が撮る先 幹の一輪
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笑いあい園まで歩くこの道も あと数日で思い出となる
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私と子 違う景色を見つめてる そのまま歩め 風おくるから
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ムクドリのすり潰されしオレンジのくちばし呻くはアスファルト
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枯れ草の丘を彩る春の色 うめももさくら咲けよ散らせよ
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春風に刺されて漏れ出す感情が宙を舞うたび呼吸を知った
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閉ぢられた本にサインはありません。しかし余情はいまだくゆりて
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もうちょっと歌らしいのもこさえたいされど止まない露悪と愚痴と
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まだ咲かぬ桜見ながら久々に 君と二人でブランコ漕いだ
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5年前までオムツ履いていた 君が生意気言うようになり
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写真見て去年あたりはもうちょっと余裕あったとしみじみ思う
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なんでかと思う銭でも領土でも持ってる程に欲しがる理屈
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強請っても買ってはもらえぬりんごを うさぎにする雪晴一人暮らし
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賑はふ店ひとり食めれば我とけてシェイクがからだに甘く満ちゆく
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吹く風の刃鈍やいばにぶれば暖かいわけではないが春を感じて
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花持ちて春陽はるひのみちを行き行けば梅咲き残る今年の彼岸
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