十五日改正日、カメラ持つ意味ひとつ消え あなたのいない総武快速
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いやだなとその直感は大事にね あなたはあなたを大切にして
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紅白の祝いの梅が咲き残り彼岸此岸の人の行き交う
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春分の日を過ぎてから春めいて鳴いて喜ぶ公園の鳩
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もしそれが本当だったなら春の空へときえて雲と笑うさ
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レコードの 傷で 針先 飛ぶ様に まぶたの奥で よみがえる日々
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丁寧に生きるあなたを見ていると私もすこし優しくなれる
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混み混みのファミレス 配膳ロボットがずっと泣いてて何だか切ない
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人生は たった一度 しかないから きみの 手のひらの 上で踊る
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また明日 読書以上の 贅沢なし それにつけても 早期復興
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新雪に ムジナの足跡 増えにけり それにつけても 早期復興
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トラックに 積まれし家具の 悲しけれ それにつけても 早期復興
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君 捨てたもうなかれ 泥だらけの写真 それにつけても 早期復興
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真夜中にチャイムが鳴って五限目の終わりに気づくが問いはさらに増えて
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夜はいまだに冷え込んで 温めたミルクで ひと息つく春分
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こっそりと 買った百円 プレゼント 手渡すところ 見つかりました
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水温み 春が背伸びを するように 空も草木も 背伸びしている
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厭ァなわだかまり飲み込んでも頭かち割る糞野郎!部屋のドアはとうめい心は見え透いてる
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主なき隣家の壁は剥がれ落ち竹は伸びゆき叔母を困らせ
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ホームランをみていた時に歯が抜けて「行かずに済んだ」と祖父は微笑み
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泣かないで かがやく昼の庭を降り夜の玉座をえらんだ月よ
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桜 ただそこで咲いててそれだけできみと別れる口実になる
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金継ぎとタイルで埋めた心の傷 死ぬ頃にはモザイクアート
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胸をうつ めいっぱいの愛を 口にする その方法を 忘れてしまった
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在りし日の 父写る地図 新しい道ができても更新不要
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天仰ぐ 人波 桜 咲き乱れ 君が撮る先 幹の一輪
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笑いあい園まで歩くこの道も あと数日で思い出となる
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私と子 違う景色を見つめてる そのまま歩め 風おくるから
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ムクドリのすり潰されしオレンジのくちばし呻くはアスファルト
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枯れ草の丘を彩る春の色 うめももさくら咲けよ散らせよ
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