起きたくない病にかかってしまったわ それでも10分早く起きたよ
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市場とは魚と声の交差点わたしもそこで迷子になりたい
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魚屋の灯りに浮かぶ鯛の赤 今宵わたしは鯛になるのだ
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新鮮な鯵のきらめき 包丁のリズムとともに命をいただく
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見渡せど富山石川雪消えて 関東平野と変わらぬ景色
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さりとてと 苦しみぬけて 楽するは まだ機にあらず 次の花待つ/さ・く・ら・ま・つ
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週末にかけて寒さが逆戻り今日はお花見今日は初恋
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自転車おさがりに補助輪つけをお願いす「こんなに小さかつたんだ」と友
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甘いもの大好きだった婆ちゃんにまず供えるのシュークリームは
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鶯の初鳴き聞きてそういえば上着羽織らず朝のごみ捨て
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晴れてても傘を持ちたい時がある 新幹線の小さい雨傘
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早朝に 腑と目を覚まし 見渡せば 薄暗い部屋 雨音の五時
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老師云う。海底針は 小指から 順に折りたたみ 拳をつくる / 太極拳 十九式
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雨止みて しずくの粒が きらきらと 春の香りも 包んで光る
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雨あがり 朝日が照らすアスファルトの上 わたしは踊るコンテンポラリー
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「おつかれ」と付箋のついた差し入れは僕だけですか? いいえ、ちがった
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大人らは 勝手な都合で 仕事して 時間が来たら パッと立ち去る
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時を経て空き家になった縁側で 春の陽射しは何を温む
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言うことを 聞いてる子らが 可哀そう もっと弾けて いいんじゃないか
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「ひとひらの記憶剥離す白木蓮」類氏のこの句に怖れも安堵も
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勉強も 悪くはないが 友達と 遊んでいれば 心も育つ
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夕暮れが 迫る時まで 遊んでた 記憶が今や 宝に思え
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おはようと知らないラジオに迎えられノイズが走ってルルルとなってね
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ピストルの 形の指に 輪ゴム掛け 人に向ければ ロシアンルレット
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OSに「bodhiボーディ」がありサンスクリット語。「菩提ぼだい」に通じ「悟り」の意味らし
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腕相撲 勝ってはならぬ 大人だし 負けてはならぬ 相手は子供
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老人が 子供とラップ ディスる時 これはスポーツ いと可笑しこと
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コートなど暑いと言い合う男たち きっと北国の人出張帰り
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年寄りに見られたくない年寄りは 仲間外れになるのだろうか
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人知れず 涙に暮れる 人を見て 心騒ぎて 祈りを捧ぐ
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