妻からの 娘の生まれし 写真見て 娘を抱きし 若き我見る
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うちからも線香ひとつなみなみとお水供えて長崎の地に
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くたばれと てめえの馬鹿面 見下ろした ケンカしたまま あの世へいくな
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もし僕が 大統領であったとして 後悔しない? ファーストレディ 
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「社長だ」と 店の女に 嘯いた 汚れた財布 不夜城の宵
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駅ピアノ今日はだーれも弾いてなく 「街角ピアノ」の貼り紙あるだけ
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ミッションはたいしたことはないんだよ 無事帰りつき また明日戻る
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それうまい? カップの氷味くらべ 舌の色みて笑う夏の日
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数分の 気持ちの振り幅 大きくて 嬉しい気持ちも こんなに辛い
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突風に 緑乱の竹林たけばやし 揺れ騒ぎ しずかに残る 青い空の穴
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わかいころ いきたくねえな で、バックレた いいんだ キャベツ 死ぬほど切るぜ
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君の写真、つい、見てしまって、口から溢れる「かわいい」の音
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をめぐり かへ家居いへゐあなぐるは つひにゆく道きたるときため
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ホストへて ガーナで見出す 生きる道 スラムの中で ひらめくアート
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八十超え 癌になりしも 世界へと 笑い羽ばたく 実業の人
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眠ってる 価値を見出し 財を成す 失敗さえも 無駄は無きかと
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蝉の声 種類ちがうのが混ざり初め 暑いが夏も盛りを過ぎたか
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水面みのおもを おし照る難波なには澪標みをつくし がるるうらをきみは知らじな
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ミニ財布閉まらなくなり ダイコクのカードをそっとスマホケースに
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明け方の夢でコロナが襲来す 夢であってくれ 熱なんかないよ
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自主避難 子供をつれて 東京へ 心壊れし 自死の悲しさ
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花田はなだなる 大地おほつちかげ のこしては たまゆら朝に褪紅たいこう
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パラパラと めくるページで  犯人を  追いつめてやる  深夜の小説
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カレー食べ齢を加えついにきた 新年早々おもしれー人
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蜂や蟻ほどには社会的でない我々ゆえの自由と苦痛
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平和とはなるべく勝手にばらばらに無意味に死ねることなのだろう
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ある程度離れて見れば炎とは何を焼こうが美しいはず
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おめでとう久しぶりからもう一度回る歯車 年一のボーナス
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立秋の 夕暮れの 自転車 飛びくるトンボも 追い越して
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クレンザー「ジフ」と「粉」ではそうまるで「パウダー」と「砂」その差を覚る
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