見苦しく下手な生き方もうそばに誰もおらずに老いと向き合う
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生まれ落ち 取り除かれる運命の 生える場所を間違う 雑草
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感情の水準器どもゆっくりと傾いている四月九日
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いかなご漁 今年の量は如何いかなるか 母のいかなご また食べたいな(もう長いこと炊いてないけど‥)
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逝きし人の顔薄るるをことわりと知らば春陽はるひの我にやさしき
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浴衣着の きみ艶姿 嫋やかな 立ち姿には いとをかしかな
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着実に つぼみふくらみ 準備する 君から咲いて 花のささやき
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相棒の「最終回」の文字哀し ビールいっぱい買ってあるのに
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「東京ガス(から)電気料金延滞」の迷惑メール どっちなんだね(苦笑)
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なかよしの ふぉーめーしょんをねこだんごさん 崩すのも しのびないけど 今朝も投薬おくすり
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ハルカゼをシュンプウと読むことのない君のめがねに住む春霞
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想像を 一切花が ない世界 無色絶望 乾いた心
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また一つ老後のたのしみ見つけをりしばし離れる読み聞かせの会
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親でいることの喜び子どもへの思いを託す『ちいさなあなたへ』
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快速の『ぼくのジィちゃん』カタルシス運動会のヒーローとなり
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一冊目穂村弘の『あかにんじゃ』心をつかむ変身の術
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名作の力をかりて変身し最終回のシナリオをかく
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寝て起きて一日浸った震災のあれこれがまだ身に少しだけ
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半月で別れる日が来る生徒らが取り組んでいる学年末テスト
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あぁなにをしていたんだろう 三日月の夜に 中身がからの涙が一つ
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たんぽぽの頸でコーラを掬うときバッドエンドは腹持ちがいい
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ひと月も空白のままの楽譜見て 得意なジャンルを書こうと誓う
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血統書付きの猫と威嚇しあう あなたの下前歯が欠けている
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久々に活発になるグループチャット 中年になったこと確認し
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今朝目覚め小雨の降りて雲低く部屋に籠りて練るか詩作を
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コロナ禍は暗かったよな震災は真っ暗だった通勤道路
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ふるさとの匂いを乗せて帰るバス潮風香るトンネル抜けて
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十四年あなたのいないこの世界で私はなにを思うのだろう
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あれからと問えば答えはまだなのかもうなのか時に迷子になる
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砂浜に打ち上げられたコンテナは錆びて朽ちても記憶は朽ちず
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