六年の死地へと向かう病床は 肉だけじゃなく希望をも削ぎ
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紙袋二つと白い骨の壺 こんなに軽い旅路じゃなかった
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この前とこの後にあるいっさいのうたはここから定義されうる
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キラキラと 川面光りて 鳥が飛ぶ まだまだ夏は 終わりを告げぬ
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高樹沙耶ガーデニングでアカン草所持法違反は懲役2
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荒れ狂い暴れ回っても差し伸べる手があることの幸せよ 今日
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お揃いの記憶を集めよう 僕は君より暇だからさ
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かれすが三日月みかつきあけに染め雲居くもいそでべにひける
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あつあつを抱えて帰るカレーパン 滲む油がよだれにも似て
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永遠の愛を誓った二人だが永遠じゃない愛もまたよし
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教室で逆らうことを続ける子一人になれば我に椅子貸す
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最後までブロック積みてにっこりと達成感を味わう二歳
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扇風機へ叫ぶ《ワレワレハ宇宙人ダ愛ヲシラナイ宇宙人ダ》
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あれこれと思い通りに行かぬけど残された生きちんと過ごす
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我が歌にいつもいいねをくれる方この場をかりて感謝してます
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しっとりと空からひびく言葉たち 伸びる思いを育てる結界
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ズルズルとすする深夜のカップ麺 罪と癒やしとカロリーの味
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人足りず過酷を極める労働環境 何も変わらずまた夜が明ける
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今日もまた助産師たちの夜が明けて「昨日と同じ」が再び始まる
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玄関のハット見るたびに最期までダンディだった義父を想う日
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画面には笑顔溢れると孫が 心によぎる会えない寂しさ
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颯爽と走る若者つい見とれ 背中を見送る私と老犬
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虫の音が 誘う枝葉のさざめきに 薫る季節の色を想う
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軋む身にシュっと吹いて油差すツンと鼻刺すエアーサロンパス
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言わないでそれは言わない約束よ言ってしまえば元も子もない
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また見たいこの桜の木君とまたその時ぐらい元気でいてね
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泣かせたい 最期くらいは 噓吐いて それでも君は 微笑する
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スイッチが心に有れば切りたいと願った日々も今は昔か
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山桜 いつしか色は 失った 天には晴れ 地には枯れ葉
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さよならと 己に聞かずは 夕暮れを 愛も一つは 置いてくるやと
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