のと
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無人駅 氷雨で濡れる単語帳 私は私を好きになれない
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ねえ僕も野球のルール知らなくて この世は少し息苦しくて
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後輩にもらった絵だけ持ってきた 知らない土地で星を探した
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雪解けてそのやさしさが咲くころに夢で逢えたら名前を呼んで
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誰よりも早くコタツにもぐりこみ寝息をたてる猫をなでたり
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年末の空気をまとう街を抜け 排水口を掃除する夜
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この街のどこが好きかと尋ねられ涙を堪え海と答えた
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あの頃に思い描いた大人とは程遠いけどホームへ向かう
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もう二度と逢えない人を想うこと 紅茶を注ぎ口ずさむ歌
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夏と冬 苦手な君が息を吸うように呟く 「猫になりたい」
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帰り道 花びら乗せた野良猫になぐさめられて 3マス進む
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指先で心を吐いて傷を縫う 明日が怖い仲間にエールを
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大丈夫 もう大丈夫 と繰り返す 魔法が呪いに変わらぬように
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私宛じゃない手紙を読んだ日に知った痛みを抱えて生きる
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もう僕に生きる理由はないけれど動き続ける心臓の音
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君がまだいる頃に買った洗剤を使い切れずに歳を重ねる
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雪国へ帰るのだろう厚着した仲間とともにバスを待つ夜
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残高を指でなぞって考える いくらあったら逝けるのだろう
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時間でも癒えない傷があると知る 雪の降らない明るい街で
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薄暗い部屋で右手を強打して生きていること感じる痛み
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幸せは自分で決めるものだから 私を守る猫とコロッケ
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辛くても息を抑えて手づかみでホールケーキを呑んで眠るの
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「また今度」  止まった時間  幸せは気づくものだと知ってしまった
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野良猫に道を譲った 僕もまだ誰かの役に立てるだろうか
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カラコンもメイクもヒールも疲れたの 生まれ変わったら猫になりたい
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猫ばかりいいねしている二日月 老後のような時間を過ごす
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それぞれの地獄があって傍からは見えないことを知らないんだね
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新年を迎えていないカレンダー。 友が笑って光る紫陽花。
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右利きのシロクマだけが知っている 日の当たらない世界の果てを
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訳なんて知らなくていい いつかこの片道切符を正解にする
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