大きめのキャリーを引いて特急に乗り込む人ら いつもの光景
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白々しい黄昏に悪態をつく一人暮らしに慣れてしまった
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遠ざかるサイレンの音が潮騒のように耳元で溶けていったね
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もう居ない犬の毛がまだセーターの袖ぐりに付いていた年の瀬
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はや三十路みそじ。独り通帳見つめては、過ぎし十年ととせの値を検める
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次の干支モンゴル行くかキルギスか 今年はインドに行かなかったな
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私は為 君はにんべん 別れても君なら誰とでもやってゆけるよ
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荷が届くそれではここでご紹介布団在住のぼくさんより
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「すどうさん」と呼び入れるたび思い出す。Super UserのSUDOコマンド
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仕事納め 歩いて帰ってみる マスクを外してひんやりする鼻
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ごくごくと天下一品の旨沼を飲み干す胃腸よもう一度
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いっこうに 年の瀬の気が しないのに テレビは流す 今年のまとめ
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知らぬ間に スッと現れ スッと消える 人の邪魔せず 生き方綺麗
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蛇のよう 脱皮してから 成長を 今の習慣 破る勇気を
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コロナ後に 顔パンツを脱げば エッ別人 マスク美人に 騙されっぱなし
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アレクサで舟木一夫と布施明 花咲く乙女の青春を聴く
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一昨日の夜から北風に揺れる手洗いしたよそゆきブラウス
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無理しない できる範囲でやりましょう 正月倒れちゃ元も子もない
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細かいこと気にしないといふ解決法 物忌ものいみ期間は適用されず
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枕ふたつ あいだにチビ猫 まるくなり ナデナデまちよ 朝のゴロゴロ
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誰も居ぬ店でブランチ食べるのも大人の余裕と言い聞かせる
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短歌とは、かつて告白なりしがいまやむしろ夢想の表白か
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年の瀬にお一人様でサイゼリヤ 誰もいなくて貸し切り気分
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黒豆を朝に浸して夜開始なます田作りの29
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はんぺんがおでんの中で湯あたりしふわふわとろろまるでメレンゲ
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秒針はリズムに乗って右回り 左に回れと心で念じる
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捨てる、捨てる、捨てる、捨てる 憧れのミニマリストに近づいた朝/今朝の夢
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はじもせず自分の心短歌うたにする 分かってるけど正直でいたい
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しょうもない短歌うたが溢れるこの心 布団から出てホットケーキ焼く
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原因は私のわがまま分かってる 何であんなに優しくしたんだ
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