終点で車掌に起こされ飛び起きる車掌もたまげて後ろへ下がる
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杖つきつ施設の妹見舞う姉に車椅子より怪訝な妹
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みづからのうちよりあふれくるものに苦しんでいるあなたは詩人
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同時代 同じ日本で起きたこと 二万に近い同胞の死は
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あと五分 微睡まどろむ中で 感じたる ベッドの下で 寝ていた君を
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あの時は和歌山にいた私さえ どすんと感じた巨大な槌を
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としつきに かさねかさねて いたみては はるけきうみに けふあめのふる
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家ありし瓦礫の山に立ちつくす声なき吾に雪吹きつけぬ(2011.3.11を偲び)
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朝起きて 今日も元気に動きだす 空元気でも カラッと元気!
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早起きの春に支払う三文は 神酒と祈りと朝摘みの花
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桜待つ、待てど来ぬ君、いつの世も、想い届かぬ春の夕暮れ。
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原発に依存してゆくジレンマのけふの電気をしずかにつける
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それぞれの震災あとを見つめをりたかが記念日されど記念日
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電柱がはげしく揺れて空暗く十四時四十六分のけふ
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おすすめを聞けば世界は広がつてまだ知らぬ味聴きなおす歌
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生き様というほどでない日々のこといつか来る日の心の糧に
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靴箱に遠く置かれた右左 最近やっとお隣どおし
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散る梅は地にひしがれて空見てた 大震災の地獄のあの日
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朝ぼやけ 重いまぶたをこすりつつ 今日も短歌を ながめよむなり
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岸辺にて鳥の案内読みをれば横に人立ち時の挨拶
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弥生月 鉛色した雪雲に 震災の記憶蘇りをり 
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もう眠い目の裏側に朝くらい明るいスマホの光が溜まる
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春の陽さしぬくき日なりけり冠雪に枝折れし蝋梅に二輪かがやく
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春うらら 今日は上着も置いてきて 口ずさんでるキャンディーズ
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米値上げ パスタ・焼きそば出すけれど 一日二回はご飯が食べたい
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明滅はタイムマシンの窓の外日々が飛び去る記憶千切れる
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曲名タイトルも思い出せない古いうた 口ずさんでる浅春はるの夜更けに
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れ言をはき(吐き/掃き)散らしてはまた集め 溶かして漉いて本にしようか
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眠れないまたも嬉しい寝不足はお泊りに来た君のせいだよ
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恥じらいを隠しきれない君の顔 溶けた真夏のアイスクリーム /「照れる」
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