寒い日は 用事以外は 動かない ねこもわたしも じっと丸まる
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片付けは人間性の秤なる散らかすだけの虫が泣いてる
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うつつでは事行かぬもの我もまた さりしかなとぞ思ひ染みける
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光差す森の中にて鏑矢を 射る者どものよそほしきことよ
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カラマツの落ち葉は夕日に輝いて道一面を晩秋に染め
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夢うつつ蝶にてぐし去になばこそ 胡蝶の夢とぞ願ひける
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塩焼きと みそ汁ご飯 朝ごはん 日本に生まれた 幸せの味
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霜月の昼は歩けば汗流れまだ扇風機片付けられぬ
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ガジュマルが 大きくなりて 我思う 気づけば育つ 子たちのように
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真実の抜け殻だけが取り澄まし落ち葉揺らして秋の向こうへ
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冬ちかし、それにつれても木枯らしに吹かれかんかんかんと空き缶
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炎症が いまだに僕の心臓で 恋煩いを痒みにしやがる
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ひと月も経たずに冬が来るらしいつい此間こないだが夏日だったが
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タナトフォビア ぬるくなったあなたの 最後を誤魔化すファブリーズ
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ワイヤレスイヤホン落下防止用ストラップ買う本末転倒
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霜月も、いくつか経ってあの時の 大好きの声は、消えていて。
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あそびつかれ ほこほこのからだ そっと寄る ねこのぬくもり いとしさ じんわり
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はるどなり 今は過去形の感情を しまい切れずに 目が泳ぐ。
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夕凪よ 川面に君が いた刹那 大人びた横顔に 気づいた
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夕時の 金木犀が 切ないという 感情を 教えてくれた
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自信家の 自信が折れる 時の音 何の声より 悲痛な短調
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やりがいで搾取されてく悲しき日本ヤポン やりきれぬブーケを捧げん
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季節外れの半袖が夕焼けに染められるまでずっと見ていた
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くるまった布団と居ない体温とあなたの声に縋る朝旦
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君がいた動画を見ても君の部屋隅から隅までよんまるよん
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外食の通知来るたび増えていく四角い部屋の小さなご飯
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ホルダーでベビーをつれたママさんが多い席にて浮き立つ私
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続けざま下手な鉄砲数撃ってまともな歌もたまにはあった/かな?
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詠ったり詠いも詠い千歌とはよくぞここまで詠ったものよ/数撃ちゃいいってもんでもないんですが 
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千歌目をどう詠むべきか思案中らしく下らぬ駄歌を綴るか /あと一歌…
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