不思議とも縁が切られた青い麦ぼくと並んで風になびこう
12
年末に孫らのはしゃぐ声響く普段独りの父の家にて
20
年賀状 やめると思うと寂しくて お元気ですかとまたペンを取る
31
足元に 名もなき花を 見つけては 全てにいのち あること思ふ
26
新年を 前に風邪ひく 油断なり 来年こそは! 健康誓う
15
駄々捏ねて買った犬すら捨ておいて 出てったやつが帰るらしいよ
7
歌を見た 祈りを詠んだ歌だった やさしき土に花咲くことを
19
闘病に休みもOffもあるものか せめて1日起き上がれたら
18
叩かれて暴言吐かれて嗤われて 生まれて来なけりゃ幸せでした
7
休みだが報告書を作成しメールで送る年末の昼
12
クルクルと回る銀蓋 浴槽の中から元気を知らせてくれてる
6
短歌をさ、数打ちゃ当たる戦法でやってきたわけだけど、どうかな?
9
金を払って経験人数を買う。金は愛を殺すんだって。
6
故郷より流行り病の報せあり閉じ籠もりきりひとり聴く鐘
13
入院で買つたコードは長すぎて絡まるけれどいつかほどける
12
日本酒をこんな時ほどかっ喰らい腹の中から除菌殺菌
8
子がつらい時ほど父は馬鹿をするパッチ・アダムスごとく笑わせ
11
ミニマムな極地を洒落た空間で髪切る音の虚無の静けさ
10
どうしても 食べたい欲に 耐えかねて 肉じゃが作る ホクホクを待つ
21
将来なんて何も見えやしないけど 君が笑えば 僕も笑える
13
三月に 彼の机へ 「好きだよ」を そっと閉じ込めた 僕はずるいから
9
みずうみに揺れるふねから手を振ったなみに消えゆくみかづきのふね
13
鍋の音 早く帰ってこないかな 二者のテンポは アッチェレランド
6
なにしようか考えてたらもう夜 ただ気だるさに身を任せて
15
シャトルシェフ 本年仕事納めなる 有りものキャベツスープ ミルクあじ
17
一瞬にざわざわの波のみ込まれ 手足冷たく猫に救わる
17
「ふてほど」の連続放送中学だったあの頃の自分思い出す
10
古守り 洗礼受けたる 我が身には 不要なるもの 晦日も返し行く
14
コーヒーを生まれて初めてブラックで‥ 飲む勇気なく牛乳いれる
17
丁寧に潰されてなお主張する苺の芯のような思春期
13