大国のエゴ 小さき国の望む当たり前の平凡な日よ いつ
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盂蘭盆の 祭りのともしび 連なりて 彼岸の貴方 此岸へいざな
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消しゴムに刺さった芯を擦るたび無数の星が文字を引き裂く
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つゆほども先行き知れぬ気のままに精霊雨しょうりょうあめは日を延べてふる
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無愛想で知る爺を溶ろけさす、孫の居る猛暑の夏休み
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深々と森の湿度を吸い込んで 空きっ腹で呑む白州の酒(工場見学)
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ひがてるも かぜつよくして ふきぬける すきまおおいは あぜくらいらい
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昼前のコンビニの客足はまばら 帰省ラッシュの最中さなかの御盆
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淡く濃く はじまり色を 重ねゆき 深まる想い いとしぬくもり
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欲しい苗ネットサーフィンして来ればわたしお金も場所も無かった
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深夜十二時まで画面は点灯 おやすみは明日起きる勇気
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祝日のエレベーターが あまりにも焼肉臭く 外出やめた
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ドローンが撮りたる秘境観ていると行きたくなるも飛べなきゃ見えぬ
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山並みが 重なるはるか 遠くまで ここにいるよの 木霊を待って / 山の日
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腕の中にいるのが誰かなんてことどうでもいいや夜29時
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綾鷹の緑流るる身のうちの我らを励ます立秋の空
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吾の友は息子の友の母黄泉へ立つ無口な息子と沈黙の会話
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耳元で「予定変更」「最大限安全確保」を聴きながら寝る/ラジオ特別体制
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リポDを飲むほどじゃない 遠出しない ただ駅前のカラオケ行くだけ
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ミニマムが素敵素晴らしわかるけどパーマをかけてマキシマムヘア
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南国の恋人はマフラーを編む 祈りがグラスの氷を溶かして
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同じ場所同じ時代に同じもの同じ感性同じ生き方
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もつれたる記憶の断片手繰り寄せ 立ちすくみおり 人生の淵
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飲み慣れぬ麦の恵みを胃に受けて眠れぬ夜を過ごす怠惰と
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白桃とプラムの香り 線香と夕立あとの路上の香り
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シュレッダーにかけた過去がまだ腫れたままのまぶたに積もり続ける
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雨降って喜んだろか青稲は わたしは少し憂鬱だけど
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傘の中 雨粒が叩く音楽が好きだったことも思い出そうね
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車窓から嬉しそに手を振る人の 先にも手があり それを見ていた
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忙しない駅で何かを忘れたような まさぐるポケット 切符の角先
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