少しずつ身につけて行こう人並みの生活まずは息を吸うこと
5
春服と 冬服上着 あと少し いききしながら 暖かさ待つ
9
二年前部屋に飾った海の写真 手繰たぐる記憶のあおより褪せて
9
反抗期 親も反抗 買い言葉 わかっちゃいるけど 親も人間ひと
14
春雨じゃ 濡れて行こうと 言う俺を 無視して傘を 差して行く君
11
徳用のドレッシングの容器には騙されたんだドボドボと出る
8
仮の名で呼ばれることに慣れすぎて真の名前を名乗れずにいる
10
山笑い 笑いすぎた 目の端に 涙滴り 次の季節に
10
一矢いっしではむくえぬならば二矢にし三矢さんし たばねればやすく折れまい
16
分け合ってやわらかチェルシー口にするおひとついかが?道産の味
21
呼び捨てで名前呼ばれる幸福感 名付けてくれたばぁばに感謝
26
岩塩を洗濯機に入れ丸くする 削れて溶けておなじになった
6
モコモコのパジャマは役目を無事に終え ぬくい日差しを浴びた日曜
33
ファスナーは無理やりにでも上がらぬに未練がましくスカート眺む
24
意味のある会話はしない白と黄の木香薔薇の咲く初夏の庭
12
これ以上あなたとお話しできないわ電池が切れてしまったようで
5
うわごとを言うわ あなたのこれからが不幸ばかりでありますように
9
ビーサンと水鉄砲が並んでるダイソーだけはもう夏休みか
12
もう一度 やり直せると 言われても リセットしない 忘れたくない
9
考えるな命短しただ進めたとえば分数同士の割り算
7
あのひとの痕跡だらけのEXCELでIF関数の書き方を知る
7
両サイド躑躅つつじが飾る階段を降りる気分はタカラジェンヌ /公園にて
23
くまばちは人を刺さぬと言うけれど 絶対刺すよなあのぶんぶんは
21
倦怠期 美味しいものを 頬張って ねずこのふり して知らん顔
9
毎日は砂噛む如く過ぎにけり時計の針に背中追わるる
10
永遠に清算されない三角の一辺のまま踊り続ける
8
白髪のたんぽぽを吹くベランダでさよならぼくのぼくのかみさま
7
ふんわりと浮かぶ前髪あのひとの朝はおそらくすっごく長い
6
透明になれると知った弟の部屋でがっつり浮かぶSwitch
4
傘忘れ あぐねる私の 傍らで  いいお湿りですと 君は言い
12