突然のご指名を受け乾杯の音頭はいつも決まった人に
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ちりざくら はるをすぎしも 文は来ず 我が身に残るは ひととせの冬
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女から借金続けて生死不明 大昔の友生きてる気はする
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夏の雲 あの日と同じ かたちして さびしさだけが あとに残った
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日常を 無くして気づく 脳内の 「お花畑」と 蝶の残像
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夢見がちそんな私の恋だから 心拍数と一緒に上下
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今年こそ彼氏と花火見たいのに 君と夏は音がしないの
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いざ会うと上手く笑えずもやもやし あの娘みたいに可愛くなりたい
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指先が 知らぬ痛みに ふれる夜 言葉にせずに 抱えて眠る
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すれ違う空席車両の乗客は 平日休暇か 夜勤の帰途か
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六限目 BGMは 蝉の声 塩素のにおい 籠る教室
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過ぎてゆく時間ときに心も流されて 初心に戻り「いつも」に感謝
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生い茂る木々のトンネル通り抜け 後ろを見れば桜恋しき
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来る夏に朧げな不安ぎりたり 未だ水無月に梅雨明けるなど
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死の間際 最後に強く願うのは 生き残る者の 幸福だろう
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実家にて埃まみれで立ち尽くすこれはレコード用のスプレー
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あら明けた さっきおろした 真夏サンダル 結果的にはジャストタイミング>近畿地方梅雨明け
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気が重い予定一気いっきに片付けん押し込む七月首眼歯内科くびめはないか/定期診察
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毎日の朝迎えてのルーティンはまずはルーティン思い出すとか
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吹きぬける 猛暑のあいまの 涼風に ほっとひと息 蝶も蜂も
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宙空にからだひねりしのちはただ落ちてゆくのみ夏の校庭
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闘病の親友ともからLINE「痛いよ」と ちょっとはわかってあげれてるかな
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人と目をずつと合わすの苦手にて眼鏡をずらし風景画にす
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インターハイあと一歩だつたと聞く我の素振りする腕細くなりけり
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宗教に科学が混ざり生んだテロ松本サリン事件おきた日
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文月が来らば飾らる七夕の笹を揺らすは青田の風なり
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「らしくない」 言ってくる人いるけれど 自分らしいより自分でいたい
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夏用のデニムシュシュなど 手洗いし お日様あてる 梅雨明けに備え
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土手道を黄色い背中健気に歩き追い越し際におはよおおおお
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旅先の海辺で貝を拾う瓶詰めとは透明な骨壺だ
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