太陽は味方だったな年少時今は出てけと追い立てられてる
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慰めはいらないですという君に俺はほんとに何も言わない
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球体は調べによると「大丈夫です」しか言えぬ小さな機械
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殺虫剤のトリガーと似たようなものなのだろうこのひきがねは
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持ち歩く日陰なのだと夫に説き 今や堂々日傘男子
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備蓄米入荷とライン 価格知りいくつもの「古」がつくものらしい
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吉野家でなんだかんだで牛丼を食べる自分にいいねをあげたい
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夕暮れの 空があかねに 染まる頃 当直の吾子 他人ひとを救ひて
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苦しくて声の代わりにクラシック一音一音ぽろぽろ吐き出す
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『国宝』のカメラワークの美しき 喜久雄の紅の引くは艶けき
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ウインナー 軽く焦げ目をつけまして しめじにキャベツに焼肉のタレ(美味いよ)
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剪定をされ残り香を放つ木よ 痛かったろう 声無き涙
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退勤の空は一面ラテの泡 西の隙間に光るハチミツ
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星ひとつ君の睫毛に留まりおり 瞬きにより流れて落ちて
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かなしみを下敷きにしてしあわせの天からそそぐのを待っている
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水族すいぞくやかた 私は向いてない 床這ゆかはうゴキに 気づくはひと
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白濁の吐息を横目に 透明な言の葉、だんだん喉のたみへ
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砂つまみ 砂に放って 音がして 餌じゃないのに 鳩は集まる
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激病み担当大臣 就任す おい 国 俺に給料を出せ
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くるっぽと話しかけても飛んで去る 話も聞いてくれぬ鳩ども
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罅割ひびわれて 失われてく 思い出と 反比例して 増すは死にたさ
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夏の夜 どう足掻いても 繋がらぬ 僕とあなたと あとオリオン座
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ロマンスの神様願いを叶えて 指紋まみれの携帯電話
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コーヒーを冷ますふりして深呼吸 湯気と香りで涙を誤魔化せ
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夕立がざっと冷やしたアスファルト 梅雨明け前の最後のクール
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流星群 見てみたいなぁ 日没後 旦那は「都会ここじゃ見えんて」とつれない>うしかい座流星群
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覗く度君のアイコン捜してしまうイチミリさえも君は知らない
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風もなく 青竹しずむ 山の奥 わたしは何か 置いてきたまま
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「またうちに履歴書を送ったとして、あなたのことはまずは採らない」
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六月でもう梅雨明けって目が眩む 関東はなお曇天続け
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