満月しじま
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 二〇一一年より冠句をたしなんでおります。
 その数年後からは短歌も浮かべば書きとめており、この度そちらも公開することにいたしました。
「満月」は「みづき」と読みます。
 至らない点が多々あるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。

名字ではなくて名前を紡がれてぬくき微風の渡る花園
5
離れてもあなたを想う度ひらく花をいだけばあなたに逢える
5
織姫になれないつらさ掻き抱いて各駅停車の隙間に眠る
10
立ち枯れた花をかかえて叫んでも振り向く人のいない現実
7
まだ恋の物語とは知らないでそろりと開ける真夏の扉
11
盛ること尽きることなくしずやかにひたすら燃える愛慕なのです
4
八百の四季の最後に積んだ夏 ともに生きたいあなたと出逢う
5
飛べないと飛ばないの差を知った日にひろがる空の飛びたい青さ
5
もし藤が雨だとしたらわたくしの一生涯に傘はいらない
9
やさしさも激しさも春孕みつつ雨は愛する側に降る水
6
啼き吼える獣それとも染まる花 愛はひとしくひとしく芽生ゆ
6
はつ春の証明として生まれゆく桃のケーキといちごのタルト
8
湿り気を帯びた道にも花咲くと思えば春を時計は刻む
5
おだやかでいたいこころに降る雨が染みたら涙流してもいい
4
地に落ちた葉にも命があったこと描けば光るわたしの絵筆
17
晩秋のザッハトルテをわけあって愛は秘密のヴェールを纏う
5
花の名をしらぬこころにふれるとき花の熱だけのこるのでしょう
9
知らぬ間に慈しまれていたことを知れば今日日も背中がぬくい
6
いつもよりずっとやさしい激しさでさわってほしい夜長の素肌
2
人生の三叉路に立つわたくしに秋はやさしくあいさつをする
6
見た目より重い小石をみずうみに投げ入れられたようなかなしみ
10
きみがもし空がこわいというのならわたしはきみの海でありたい
12
無愛想なあなたが笑う時にだけぽうっとひらく花があります
5
さみしさを宿した君に差しかける大きな傘はいつも赤色
8
ジャスミンの香る夜路をあえてゆく勇気はあるか 君にはあるか
5
接吻の熱でゆっくりウイスキーボンボンひとつ溶かしませんか
8
「閉店」の文字は硬くて「なくなる」の言葉は哀し 一月の末
5
感情が渇望になる寒夜には君の名前を叫んでいいか
8
しあわせをしあわせとして噛みしめる三十二回目の誕生日
8
十分の砂時計では愛情を計れずにいる秋の夕暮れ
6