満月しじま
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 二〇一一年より冠句をたしなんでおります。
 その数年後からは短歌も浮かべば書きとめており、この度そちらも公開することにいたしました。
「満月」は「みづき」と読みます。
 至らない点が多々あるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。

催涙雨なんて言葉で運命をそんなあっさり片づけないで
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七月を愛逢月と思う度あなたの声が聴きたくなるの
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「いつかっていつのことだよ」「ごまかすな」「ハッキリ言えよ」今日も言えない
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恋人がいるなら先に言っといてアイスが転落死したじゃんか
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ピリオドはあの日に打ったはずなのにいまだに押せぬ削除のボタン
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しあわせが輝きながら満ちてゆく六月、ブーケ、白、ニ長調
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忘れるな その日心に広がったレモンの香りレモンの味を
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捨てきれぬ火の想い出をたどりつつドライあんずの一粒を食む
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バーボンで呑み下せない男の悲抱きつつ夜はそれでも更けて
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僕じゃない誰かのために純愛という香水はまとわれている
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紅い押し花の栞が挟まれたいくらか褪せた恋慕のページ
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一点の黒が真白き壁にあり自分の罪科ばかりを思う
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憂愁のロ短調から祝福のニ長調に転調した恋
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女だという悦びの染みた身によりなじみゆくシャネルの五番
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哀愁の霖雨に被弾しつづけてそれでも黙している紫陽花
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久々に対飲すればいつもより父の目尻の皺が深まる
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この風とこの雨で咲く花がある今は光が見えなくたって
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しめやかにくちを重ねた 豪雨にて隔絶されたような小部屋で
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早緑は梅雨踏み越えて濃緑となる 若者よ負けんじゃねぇぞ
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この家に俺だけひとり遺されて 澄んでいたはずなのにな空は
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この海の美しきもの見逃さぬように歌集はゆっくりめくる
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筆入れの中に消しゴムだけがない忘れたいことばっかりなのに
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ひとつぶも上白糖のない家で離婚届は書かれています
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「回り道にも花は咲く。だからもうちょっとゆっくり歩きませんか」
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素直さという名の糸があったなら紡げたはずの愛の詩、夏
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楕円なるホットケーキもまんまるの愛情で作られているんだ
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あの夏にあなたがくれた赤い傘いまもだいじにしまっているよ
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しあわせは失う前に気づきたい青きリンゴをガリリと齧る
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明日には五歳のきみの手をにぎる あったかいねちょっとさびしいね
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星図にはなき星探す人がいてホットココアはゆたかに香る
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