満月しじま
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 二〇一一年より冠句をたしなんでおります。
 その数年後からは短歌も浮かべば書きとめており、この度そちらも公開することにいたしました。
「満月」は「みづき」と読みます。
 至らない点が多々あるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。

片割れがどこにいるのか知らないで鮭と蒸されたレモンを想う
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キャンバスに澄みきる青とコスモスのピンクをのせるような声音を
2
電話越し届いた声のやさしさに私の空も青のひと色
1
泣き言を言うより先に闘うの 希望は自分で見つけるものだ
2
わたくしの心の底に海がありそこで涙は産まれているの
2
退院の方に贈ろう 「さびしい」のかわりに詩を数多の花を
1
念ずれば叶うのならばわたくしの祈ったことが事実となろう
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病室の窓は額縁 青と白 夏は褪せゆき秋は染めゆく
2
しっかりとした眠りから覚めたならなんてクリアなクリアな世界
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食事するその一口目、口内がキューッとしまる これが「おいしい」
1
しずやかな所作で私の手をとってジアゼパムとはやさしいお方
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空のあお海のあをとが響きあい青い花だけ知ってる秘密
1
「ギョロついていないでしょうか、私の目」透明なまま世界を見たい
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みんなからひかりをもらうしあわせなわたしもだれか だれかのひかり
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こだまする 百年を経て タゴールの春の歓喜よろこび 私の真夏
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句も歌も私の中に降ってきてひとつひとつを書架に飾るの
2
昨晩の夢に出てきた真赤なるアジサイを、ねぇ、いただけますか。
1
伊右衛門のペットボトルの底にある「おおきに」の文字 キャップを開けた
2
昨晩のコードブルーの方の部屋なんで空っぽ 黙礼ひとつ
2
三週間ぶりに飲んだコーヒーの香りの強さ 八月二十日
1
六月に亡くした臓器 そのばしょにきっとなにかがやどっているの
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心臓も脳も手足も動いてて「生きる」を思う八月の我
2
ガンよ聞け 決して絶えぬ猛火にてお前のことを殺してやるよ
2
あぁ、きっとわたし、誰かの特別になりたいのだと気づいた秋夜
2
産めるのに産まない人も産みたいが産めない人もいる 生きたいよ
1
さみしさを埋められなくてまたひとつ積み木の城が崩れてゆくの
1
新婚の君に幸あれ心より『You Raise Me Up』を歌う
1
「声が好き」十年前も言ってたね私の魅力はそれだけですか
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ともすれば灼かれてしまう愛だからもう逢わない方がいいですね
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愛された後の身体にひかり降りたったひとつの花になる我
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