「あの船に乗りたい」という君の手をしっかり握っておけばよかった
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あらそいをすべてやめれば平和なのに 無垢に祈ったあの日の教室
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声ぞただ 花の残りに 流れきて 逢はむと言はず 別れしのぶ夜
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いつまでも昼間であってほしいから太陽の後がつっかえてる
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緑濃い草原のよな田を撫でて真白き鷺の旋回ゆるり
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祈るべき日も祝うべき日も ここに在ること喜び また目を瞑る
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想像す一人一人の暮らし、顔 それがいいんだうたかたの君
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ひめゆりの塔訪れたキミの声受話器越しでも分かるよ涙/8月
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アットホームな民宿の露天着をかぶるキミの香がする泣きそう/どの柔軟剤?
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白絵の具垂らしたようにかもめ飛ぶ空と海との青さ極めて
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八月の六日九日十五日以外も平和を噛締め生きたい
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誰にでも ちゃんといいとこあるからね 偏見メガネを捨てて笑顔で
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傷口が広がらぬよう虹見れば窓の雨滴がゆるり流れて
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あの砂を集めてつくる砂時計ひっくり返してプレイボール
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鳩の群れに幼子追はれ泣きにけり親に抱かるる平和公園
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「この野郎!素人なのに生意気なッ」と妄想交えてシュートを放ち
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伐られてもなお奪われぬ薔薇色と したたかに在る呼吸の痕跡
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連なりし丹霞の道を憶えてる 身に抱く目に その色彩に
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花束をあげたい人がいてそれが恋だと思いませんか
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愛されたい 愛されたいけどお前じゃない 愛したいけどわたしじゃない、って
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人生が点AB…と続くとき一瞬重なる点Pだった
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何もないなんて今もう言わないで 楽しかったよね? 苦しかったよね?
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思い出と呼べるほどには思い出にならなかったね 空が明らむ
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「流れ星が落ちるね。寒くなったから」電波の悪い部屋にも   星
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十光年先の自分からの光あなたの願いは叶っているよ
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七等星でいいあたしは暗いままきみの伴星として生きたい
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フロントガラスが曇る 宇宙でもきみとわたしはあたたかいだろう
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宇宙って言うといつでも夜みたい 地球のどこかはいつでも真昼
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終わること前提にして共に住み いつか形見となるヒゲ拾う
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月遅れ 叶わぬ願ひ 書き留めた 七夕のそら 揺れる短冊 /田舎の七夕は月遅れ
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