届かない背に手を回し保湿する雨が降らないいつからだろう
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悩みすぎ 反省しすぎ いつもまた 何も変わらぬ 人生模様
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鼻紙が 山と積もれば 壮絶な 働く細胞 ブラック企業
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すでに日々を終えた人が植えていた 水仙がまた春を求める
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なんどでも間違えていいそのたびにきみが時間にきざまれてゆく
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冬寒の庭に隠れて一輪の椿の赤き思いこぼれる 
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終盤の攻略自信回復は悔しい以上昨日をバネに
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行かぬのに風雅なる宿一泊かビジホ二泊か居酒屋談義
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豪雪に出勤できぬ老医われを出迎へにし職員の笑顔
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老い二人 きみらが帰りし昼下がり 畳む布団に匂ひ残りをり 
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ひとりでは かかえきれない そのきもち わかのささぶね ことばのうみに
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静電気で君に懐いた髪が白くなっても雪見を一緒に
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赤い文字を探してめくるカレンダー 空いた平日有給申請
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晴れた夜シャワーヘッドを握りしめ雨乞いをした哀しみ温し
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酒なくてなんで己が人かいなもう逢えないね雪華散るらむ
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雑草の名前を調べてみる夜更けそうかあいつも親が居るのか
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ピーマンを食べたら結婚してください。二十年後にもっかい言ってね
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トントンと包丁の音恐ろしく感じぬ僕がもっと恐ろしい
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屋上に靴がぽつりと置いてある 地上はきっと見ないほうがいい
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地平線すら見えないほど真っ白なここはどこなの私は誰なの
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雨よ降れ明日は体力テストだし失恋したから隠して欲しい
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『飲み帰り流れで買ったおつまみを翌日に気づく』みたいな人生
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小吉と 引いたおみくじ 悔しがり 気にした中身 思い出せずに
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ベランダで煙草燻らす君の影染み付く椅子は凍えたままで
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家族皆 寝静まってから こつそりと 起きて眺むる 星空が好き 
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天秤にかけるは息を吸ういとまと思考を放棄するせわしさ
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辛い時 通ずる想ひ 恋を詠む 百人一首は 時代を越へて 
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『やさしいね』言われて嬉しくないけれど他に言う事無いからだよね
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ぼく泣くよ一週間後 二週間後にユウイチは転校するの
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どうしたの?笑って見てはヒソヒソとこっそり教えてくれたら良いのに
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