洗濯まち またひと踊りする間 郵便配達ピンポンが鳴る 母の誕プレ
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なってみりゃかつて見ていた爺さんの威厳や品は探せぬジジイ
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未来ミ・ラ・イって見えてもランダムいい加減いい汗かけばいいことあるよね
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父ちゃんが開けられなかった佃煮の缶を開けられた僕は切ない
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女房の義歯いればを入れた空き瓶が 視界に入らぬ角度を探し
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本人にその気なくとも年齢は老人だから敬っとくれ
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いなくなる まえにひとこと ほしかった フードコートの 喧騒にひとり
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両親の身長越した成長期 だけれど年はいつまで経っても越せない 敬老の日
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藍染めの浴衣についたシミひとつシボに隠して夏に別れを
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腹のなか共棲中の菌たちに 億個でいくらの値段を付ける
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僕はまた往復切符を隠してた 君は独りで帰らない旅
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飲み会の つまを迎えに 車駆る 友蔵ばかり 三人 四人 / 敬老の日
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芋掘りの 息子の写真 見てる俺 早く食べなと 芋食う息子
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ケータイのAIだけがただひとり祝ってくれて誕生日朝
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秋風に揺れるコスモス 長月の お楽しみかな また見に行かむ
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夕風の農道行かば稲穂波 茜の空に群れ飛ぶトンボ
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北東の夜半よわの空の 黄金色こがねいろの下弦の月は 鈴虫を聴く
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デパ地下でサダハル・アオキのマカロンを横目に見ながらもち吉に行く
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朝食の支度しながら 歌い踊る 旦那は一瞬も 起きやしないし(全力ギミゲ・エクスターミネイト・グロリアスブレイク等々。よく起きないよなーw)
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チビ猫は「ニャマゾン」箱に 根が生えて 呼べど叫べど にうにう牛乳こない
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ベッドの上 前屈ストレッチしたら ちま猫の 薄目のあいた 寝顔と目が合ひ
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横顔が綺麗な男の正面を見れないままにカフェを退店
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杖の音の似た者同士のおはようが虫の音に沁む敬老の日よ
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各駅の 絶望行きに 乗っちゃった ま快速よりは 希望はあるか
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久々に友と話せばあの頃の 記憶さやかに甦りたり
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彼岸には暑さに逃げし盆を詫びゆっくり墓前に語りてみたし
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遊び来て 狭庭に彷徨うキジ雛の よちよち歩き姿微笑まし 
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呼びかけに しっぽで答え 去りゆけり 自由を生きる 猫のしぐさよ
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血反吐はく 覚悟で臨む全国を 「旅行いいね」と 云われる世間
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弟の温き心にもたれいて親をおき去る総領甚六
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