Utakata
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リュケイオン
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2023/11から始めました。
色んな自分がいて、色んな自分のその時々の気持ちを詠んでいきたいと思います。
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花壇よりこぼれし種の花が咲く我が
陋屋
(
ろうおく
)
に園児の声聞く
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波が消す真砂の上の君が名に瞬き始める宵の明星
11
浮島に住むとふ君に会ひたしと今ひとたびの夢を請ふわれ
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浜辺にて三十一文字を砂に書く岬の先に君の住む街
14
子供等の指差す声に輝けりモッコウバラの咲く通学路
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木曜日ターミナルへと夕暮れは流線型に溶けて流れる
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解禁日勇んで向かう渓流に桂の梢は
未
(
まだ
)
だ春を待つ
11
時鳥
(
ホトトギス
)
梅の香残る山里に春の便りを梢に運ぶ
12
シベリアへ
2
月の空に真っ白な花嫁達の隊列がゆく
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淋しさの人混みにいて振り返る横断歩道のラインも見えず
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ちらほらと恥じらうごとく咲く花を空の余白に指で数える
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人波に逆らい君は降りて行くギター抱えて歯を食いしばって
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蝋梅の香りに浮かぶ君のこと今年もここで立春を待つ
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一面に真綿敷くよな雪の朝そこだけ溶けてる桜木の下
10
束の間の小春日和にのっそりとアオダイショウも水浴びをする
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改札のそこだけ白く抜けた壁 伝言板が外された跡
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梅一輪 雪積む枝にぽつり咲く春が遠のく手のひらの上
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あの夏に植えた
茗荷
(
みょうが
)
はひっそりと今年も芽を出す記憶のように
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手のひらへふわりと落ちた奇跡かな 出会いはいつも綿雪に似て
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稲妻を一緒に聞いたあの夏の答え返さぬ冬の夜空は
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クロモジの
冬芽
(
ふゆめ
)
も緩む鏡割り古い友から賀状が届く
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子らも
去
(
い
)
に夫婦二人でニュース見る河津桜の一輪咲きぬ
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仕事場へ急ぐ吾見てぴょんぴょんとハクセキレイは前を横切る
12
今朝歩くいつもの道の静けさは当たり前ではない当たり前
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生くるとも災禍に満つるこの世界オルガンの音青く沈めり
11
娘
(
こ
)
の作る一年振りの雑煮腕 妻と同じに人参を切る
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大晦日枯れたる庭に霜結ぶ さくりさくりと時きざみつつ
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返信はベルガモットの香りして しんしんしんと
夜
(
よ
)
がふけていく
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誕生日忘れたけれど
彼
(
か
)
の人の好きだった花を一輪差す日
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爆裂の止まぬ世界に生きてなお希望を捨てぬ子らがいる
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