なんじゃこりゃ 軽く叩いて 寝かしつけ 静かにさせる そういう仕事
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よく見えず 耳も聞こえん 老人に 厳しくせんと 優しくしてな
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お互いを思う存分罵って笑顔で握手そんな日は来ず
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過ぎてゆく幾度目の夏ふと気づく記憶の君が泣いていたこと
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死ですらも時間が経てばオパールになると知った。かなり救いかも
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夏休み教室中に人知れず響きわたったセミの絶唱
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サヨナラの 思わぬ幕切れ ベンチ前 涙こらえて キャッチボール
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押入れのほこり被った羽根を見て自己紹介を紹介する日
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疲れ果て豆腐にネギをかけながらうたう鼻歌はみ出る無意識
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食べ頃の桃の香甘ひ 夏座敷 残暑へ移り変はりぬ立秋
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ブランコを漕いで漕いで近づきたい空と同じ回数離れる
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いただいたいいねの方の歌を読み 感嘆しきり固まり唸り
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心待ちの流星群に水を差す 何度見たって変わらぬ予報
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炎暑の街は 人気ひとけなく 百日紅さるすべり 花火のように 咲いていた
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はじめての 地下鉄乗って 線路見て 奥の暗さに 恐怖を覚え
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怒り方嫌な上司むかし瞬間湯沸かし器いま線状降水帯
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電線でカラスが喧嘩 絡み合い 落ちても白熱バババとバトル
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うたた寝をしてると ねこと目が合って ねこもねむたげ 我も(たぶん)おなじ顔
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湖へ投げた小石のぬくもりが指の奥まで残るさみしさ
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ニュースって心を重くしちゃうでしょ? 僕は断ったら いたってハッピー
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湖に浮かべたボートゆらゆらと ジェットスキーの波に揺られて
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雨上がり 蒸し暑さ増す 蝉時雨 缶コーヒーが 唯一の癒し
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老健の施設長募集の案内に歳を忘れて応募せむとす
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三日前少雨を嘆くニュース観た今日の大雨洪水警報
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この夏も 盆休みなく 働くよ サービス業の 試練の時だ
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アポまでの 空き時間カフェ 仕事する アップルティーで 現実逃避
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スーパーの ボイルのカニが美味いから 八月七日はクラブ記念日
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軽トラは稲に隠れて潜んでるキャビンと荷台わずか晒して
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黄色の陽浴びてぽとりと落ちた花枕に眠るライオンの夢
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会えなくてはち切れそうで胸が痛いあたしこんなに可愛くなったよ
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