諦観
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投稿数
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「わたしもです」後出しの共通項に赤い糸を見たあなたが悪い
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教室の外側の匂いのする本を内側のきみは好きと笑った
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泣きそうででも泣けなかった六日間をやっとあなたに話せた七日目
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「きみはこういう人だから」って全くの的外れ あれ、嬉しかったよ  
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珈琲プリンパフェ さくらんぼの種を飲みこむきみとこの時間ごと  
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持論とも呼べずに散らかる自己愛を献花にしたらわたしの葬式
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シリンジに吸われる血の茶色のように 甘くしょっぱい暮らしがしたい
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風向きを気にしてくるくる煙吐くきみと目が合う春はもう来る
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弟は確かな手つきで淀みなく描く弟みたいな図形を
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ふきだしの中にしたためた魂はえもじの子により幕を引かれた
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この星で唯一万有引力がはたらくきみの目に小宇宙
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十一のわたしが纏っていた菌は二季化に伴って消滅した
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丹精を込めたオムライスプレートにあの子は祖国の旗突き立てる  
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方言は口を擦り抜け口癖に名を変えきみの口に滑り込む
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死ぬなんてそんな怖いこと言わないで、百年後まで徹夜しようよ
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100曲の中から未練を引き当てて プレイリストのトッパーは峯田
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切る勇気なくて引っ掻いたダサい跡 角度によっては星になる過去
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出発と映画は遅いほうがいい 日々から半歩はみ出た浄土  
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絶対やずっとを口にできる若さ 短所は案外綺麗だったね
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モラトリアム人間たちの繰り広げるお気持ち表明合戦は美学
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「濾過できない思いはやがて結晶に」十代最後の自由研究
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もう二度と会えないくせにインスタで仮想的にきみを繋ぎ止める
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新前橋、終点前橋、きみはうまく無理できてるのかなって気にした
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残暑だというのにまだ灼熱が棲む わたしの未練はこの国の夏
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運命では絶対にないわたしたちの限りなく奇跡に近い偶然
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この地球のどこかにいるはずのあなたへ末永く末永くしあわせで
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七月の末の部室で法学部だけの朝には風がやさしい
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夏を耐えしのぐために買ったパズルを三日で終えて秋を待ちたい
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何者にもなれぬわたしをも見捨てずに小田急線は海を目指した
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だれにでも微笑む術を知っているきみにはきみの地獄がありそう
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