後輩のわきまえのない振る舞いを来た道と思い、黙って見ている
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青時雨 さらう鈍色の河 滔々と 遠くに聞きて食う 母の玉子甘し
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年経ても噛んだ記憶は苦々し 久しき盆に鬼灯が鳴る
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酔狂は我一人かと思いきや 土砂降りのなか五人が泳ぎ
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青紅葉 雨滴をはじき水遊び 柔らかな手は 嬰児みどりごのごと
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れいぞうこ よるは閉めっきり にく凍る 朝からカレー 夏休みみたい
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ボンヌイも ボンボヤージュも 仏蘭西語 やっぱほとけに かんけいあるじゃん \盂蘭盆会
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今ひとつドラマチックになりきれぬ 我が日常たいくつもいつか青春おもいで
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新品の 八つ手の葉っぱ 初めての 雨をはじいて 楽しげに揺れ
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今詠え たとえ名歌とならずとも 忘れたくない瞬間ときがあるなら
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疲れ果て雨中に眠る古帽子 子どもと夏は見送れたのか
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君に会うそれだけの日を運命と呼び何も手に付かずぐるぐる回る
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感情に なるまえ生ず 体内の かんかくつかむ ことばのまえに\f.
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あめふって はなすぼめても あさがおは 弦ゆらしつつ なんか言ってる
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いってから はなそなえても 自己満と きょうのわたしはじぶんあたる
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よく噛んで食べなさいねと ねこに言い いい音だねぇと 褒めて育てる>再掲
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移りゆく 季節に君を 忘れても 夏は切ない ままなんだろう 
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やさしさはどこまでいってもやさしさでやさしいだけじゃどうにもならない
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期待せず、永遠は無し、そう生きた 君が入って矛盾が起きた
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陽の位置に 追い立てられる こともなく 洗濯もなし 雨の休日
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特急で 天の川銀河 通り抜け アンドロメダで かき氷を買う
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夫婦仲 氷のように 冷えきりて 離婚届は 冷凍保存中
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みずからの暗さを見つけるうれしさよことばは映すわれの心を
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幼子の狂気はいずれ正装す歩いたり食ったり人間の生活
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とりあえずオロナインでも塗っておくあとは寝てればいつか治るさ
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ファッションショー始める前段階のイブ 背中の痛みが邪魔だ 消え去れ!
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雨は好き?お見合い初日みたいな質問色んな君をもっと知りたい
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たましいの充電中と言うきみは猫のお腹に顔を埋める
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雨がやみ、風が止まって嵐去る。元日深夜のテレビの向こうで
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街角のチョウセンカズラ揺れし午後 手を振る我が子の笑みが眩しい
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