録画せし 「歌会始」粛々と 画面の前の 吾も正座せり
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澱粉を光から生み出した末、煮られて串に刺される小芋
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大型の従属栄養動物の百個体ほどに配る弁当
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各地域のニュースで知りぬ 全国から支援さまざま温かきこと
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日課なる夫の薬のセッティング 済ませて気付く吾の飲み忘れ
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泡ハンド(ソープ) 本体寿命てあるんだな 全然泡になってくれない
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揺れたよな気がして目が覚め 頭重い 過敏になりて居るのかもしれず
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寒いほど 冴え渡るのは 富士山と 月の輝き 仲間に入れて!
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語彙力はわたしの世界の解像度 「エモい」が全てを覆わぬように
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純愛もカネの魅力に勝てないと沁みる哀しみ癒えぬ長きに
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かたわらで己のことを老いぼれと笑うおまえを離さないから
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感性は縦横無尽に飛び交いて 空詠む人も 鳥詠む人も
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うなりあげ吹きまくってる強風で広がる青空雲一つ無く
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おはようと 霜柱踏む 朝の声 冷たき冬田の 空へ澄み渡る
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大雑把な 雪女郎の里 おだやかで 山の向うは 雪かき分け分け
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ふた毛玉ひとり占めして寝ごと聞く三びきはいる布団ひと組
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付け焼刃替えた看板ハリボテで派閥解消政策集団
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罪と罰裁かれるため生かされた三十六人殺した男
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父の名で母が送った義援金地元紙に載る夫婦の形
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潰れてく店新しく出来る店新陳代謝と言えばそれまで
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温度計「今日が底か?」と問うてみる(絶対底!)と身体こたえる
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頬を刺す風の冷たき昼下がり日溜まり求めサイゼの窓辺
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橋かける新東名の難工事 「祝今年」のイルミの願う
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手の平の上で見つかるのはアイテムだけ使う遊び場は見上げた先だ
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雪のふる被災のひとの並ぶさき 炊き出し牛丼こころ温もる
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四十肩 若手と言われ 頑張るも 大寒訪れ 現実を知り
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遠藤周作の『死について考える』を読みかへし「死に支度」なる語が脳にしみつく
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また会える本気で信じた運命は幼い私の淡い妄想
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足のにぬくいかたまり猫たんぽ挟んで眠るダチんの夜
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ユニフォーム サイズが合わず着こなせず 似合ってないけどチームの一員
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