この道を九日くらいまっすぐに行けばおそらく私の故郷
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健康といいわけつける散歩道行き着く先は馴染みの定食
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ロケットのニュースを君が知らないとアメーバ消える西荻窪
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どこかしらいたいけないね土足にて踏みつけられた名刺の僕は
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素粒子が人間にまで進化して 素粒子の意味考えている
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雨雪が地上に落ちるのではなく世界が空に上がっているのだ
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水無月の 帰り支度の 更衣室 汗拭きシートの 匂いに咽せる
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初夏にまだ聴こえる不器用なホケキョウに我が身重ねてハイタッチしたい
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一歩ずつ湿度染み込むウォーキング道草うれしスーパーでホッ
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仲良くね 一にも二にも 幸せは 平和の裡に 築かれるもの
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梅雨入りを 目前にして 気がはやる メロンの移植 そろそろやっぺ
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保育士が 会場狭しと 集まりて 包括的な セクシュアリティ
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館長に 思いのたけを ぶつけても さらりとかわす 仕方ないよね
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外人が 隣に座り 黙ってる 片言英語 わからないよね
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懐かしき 市民ホールの 駐車場 君は今頃 どうしているか
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老人が 畑に通う 理由とは 人に嫌われ 心を癒す
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栄光を 求めて駆ける イカロスも 日に近づきて 炎に焼かれ
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一口に 愚痴と言っても 情けない 悲しいほどの 現実描写
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小汚い アパートメントに 住み続け 心も萎える 老いも深まり
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近頃はひとりを好む私だが君の「みんなで」には敵わない
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かせ付きの両の手脚を引きずれば 別のかせ付き 青い芝生で
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回送の暗い電車は乗らせないまるで私の心のようで
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上向いてサークルモッシュするときは熱気が空に舞い上がる時
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ホトトギス 昔からある 聞きなしを 何度も唱え 旅暮れなずむ
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蕎麦啜り一人思うは遠き日の家族の形そばにいてくれ
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草を取る それが目的だけでなく 季節や命 感じるために
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パソコンの 画面が出ないと 友の電話テレ ダメもとの指示 強制終了
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いつの日か この痛みさえも 薄れるか 父の遺影に そっと手を触れ
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幼き日 怖れし父の 大きな手 今は冷たき 土の下なる
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許すまじ そう誓いし日も 今は昔 ただ淋しさだけ 胸に残れり
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