妹のすんなりごめんに溶かされて にぃにもごめんを言えるといいね
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目覚めては 安堵する日々 いつまでも 変わらぬ普通を ねがうみらいに
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息子らキミたちに囲まれ写る写真には 子育て終了小さな私
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できるのもできないことも愛おしい 子の学友の旅立ちに触れ
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「笑って〜」と仕切り屋むすめの一声に シャイな息子らキミたち全力笑顔
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脱出の緊迫映像 それぞれに役割果たし誇らし涙
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どうせすぐ大人になるし今だけは「あう」しかいえない君を守らせて
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青空を拒絶しているつもりなの?ゆれるカーテン波打つ孤独
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恋した日君のためにと植えた種 そろそろ蕾 開きそうです
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林立する個人の胸をつらぬいた通過儀礼は絶えて久しい
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ハイターに心臓を漬け泣きながら取れない汚れをこすり続ける
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完成をしないいのちを連綿と続けることが責務であった
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ひととせを数えるたびにもう誰も大人にたどり着けないらしく
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持ち上げた缶コーヒーの空き缶はいつかなくなる魂の重さ
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目の覚めた午前四時半 薄闇をカブが往くのでひとりではない
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とぼとぼとあるくぼとぼとあふれてく すきもきらいもうたになってく
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投資詐欺心身凍る冬空に亡き弟の分も生きねば
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振袖の 女子見てみれば ギャルばかり 不良ばかりが 勝ち組なのか
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振袖を 今年初見る 駅の中 元日でなく 成人の日に
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老眼鏡鼻に据えたらビーズ手芸気持ち悪くて気づく母のだ
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切れかけのキッチンペーパー 在庫さがし 待機させ置く 名もなき家事よ
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寝こけてる ねこのおくちがあいている オヤツのあとのあさき夢見む
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キミと過ごして浮かされた熱を逃さない魔法の瓶が欲しい
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日常を詠むこと躊躇わずにおこう 有り合わせでドリア作りつ
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助手席の起きない君に気遣って 静かに開けたピノが星型
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人生が短歌だとして 下の句の十四文字は君を詠みたい
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「大切な話がある」と駅で待つ 今日はヒールを履いてない君
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ハンバーグ、目玉焼き、お茶、名も知らぬ人間に作らせている食
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かたつむり真似してみんとコタツ出す 出れなくなった もうこたつムリ
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まどろみの中にあらわる聖域は身の丈ほどの長方形
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