名も知らぬ花をあだ名で呼ぶ君と僕とで作るノアの方舟
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男郎花ぐったり下がりヨコ見れば 真っ直ぐ育ち恋の勝ち負け
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街灯に滲む夜 手を伸ばしてつかむ夜 寄る辺なくよるに
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ふやふやと眠気はどこへ行ったかな あんなに仲良くしていたものを
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触れた手の温度も声も輪郭もぼやけた人がまだ好きでいる
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君に逢うそのことがもう怖くって それでもやはり顔が見たくて
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わからない上書き保存の方法 忘れられないあなたの仕草
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しゃがみこむ 裾から見える足首の細さに少し胸が苦しい
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背負ったら同じ可愛さ手に入る? リュックのタグをこっそりパシャリ
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会いたいけれど会えない私が誰かに愛されるまでずっと
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唐突に色や香りや指先の感覚全てが蘇る夜
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逢はぬまま朽ちやはてなん夕陽さす口縄坂に紅葉かがよふ
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季節遅れの 西瓜持ち 訪う人に 風鈴しまう手を休め
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段ボール だんだんと庭土に溶け 庭の片隅 月が見送る
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ヒマラヤの岩塩溶かし 四十億の海鳴り ガラス震わせ
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「死は救済」なんてうそだよもしぼくが死んだらちゃんと花を替えてね
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手ぬぐいを洗って干して忘れてきたよ 毎回こうだな 傘も忘れた
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スプーンで潰したいちご眺めてる もう好きじゃない好きなわけない
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黄昏の空に笑った君は今見るも無残な泡沫だった
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大丈夫なんてったって神様に頼まれ生きているのですから
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泣きながら顔ぐしゃぐしゃになりながら「よく頑張ったね」と言ってハグした
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下草が隠す小花を摘むようにToDoリストをこなす毎日
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唇にフェイクの熱を差し入れて 鏡に虚勢をぶつけてみせる
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指先に灯る熱すら知らなくても 構わないのと嘯く午後に
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何もせずただ生きているそれだけが老いたる犬の生存理由
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世の中の善も不善もゼロにしてやり直さねば世界は終わる
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明日には消えてしまいたい夜があるにも関わらず朝日は昇る
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公園も静まり返る夜六時遊ぶ子供も気づけば居ない
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憂鬱な時は決まって雨だから私は天気予報士になれる
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土曜日に金を使いたくなくてうつぶせになりスマホをいじる
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