開けたてのコーラの飛沫エアコンに煽られ机に横殴りの雨
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アスファルト照り返す日の熱ささえ感じぬ冷やされ切った内臓
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巳年へびどしの私の心はどちらまで長く遠くを求めて這うの
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わずかなる水掻きに溜まる海水がくすくす光った小さく強く
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青い星見つけた 君が好きな色 見せてあげたい 居ない 寂しい
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挑戦という名の二歩が日曜の夜に地団駄を踏んでいるのだ
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とおくから音だけ響く花火ごとゼリーにしたい今日の夕焼け
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世界から愛されている君のこと嫌いになるただひとでありたい
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あの日見たメスフラスコの票線を見つめる瞳が隣のブランコ
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透明な夏のたまごを生むサイダー サドル使わず立ち漕ぎでゆく
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夕陽液 夜のグレーと混じる部屋 床に寝転びトントントトン
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公園はうらうらがなし夏の風冷たくなって8月の昼
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継母ままははも魔女も死なない世界ならガラスの靴は誰でも履ける
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悲しいと寂しいだけが最後まで無くならなくて虚しい朝顔
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さよならよ今だけ優しくそばに居て明日には何も残らないから
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猛暑にも秋を感じる涼風に冬は嫌だなと思う吾いて
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くちびるのまわりいっしゅうつぶつぶのトマトジュースに愛されている
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生活を忘れているような性質たちに優雅と贅沢の名をくれた
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記憶の水 君の小2の家遊び どの夏も同い年だったね
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君待ちの蕎麦と映画の贅沢を褒められながら肌すりつける
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五分先でさえ言葉にしてよとは言えないだから綺麗でいるね
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伝えたい本音を炭酸水で割り 当たり障りないスパチャを贈る
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アルバムの列にぽっかり空いた穴 一番好きだったはずの曲
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君のその 一つひとつの 細胞に 愛の一文字 溶かしたい夜
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返されたテストを喰らうシュレッター 紙屑泳ぐ肺魚が見てる
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なんとなくはじめた旅をなんとなくやめられないまま最果てに着く
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蟬死んで蟬死んで蟬死んで蟬死んで白雨で流して晩夏
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逆立ちに励む子 寝る子 上裸の子 思い思いの井の頭公園
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日に焼けた少女が投げた水風船 一生分の夏が弾けた
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向日葵の友は太陽だけでなく夜には夜のフィボナッチ数列
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