榎本明音
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短歌の表記は口語・現代仮名遣いです。自然や季節を中心に、食べ物や日常の出来事など明るいトーンの内容が多め。ほぼ全て定型遵守。
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豆を挽く香りが鼻をくすぐって意識のネジが回り出す今
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街灯が灯る合図で家路へと急ぐ背中を照らすオレンジ
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スニーカー紐を結べば胸奥で冷たい風をガソリンにしろ
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停留所時刻をなぞる指先に旅の終わりが近づいている
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掃除機がホコリの粒を飲み込んで床の広さを噛みしめている
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気まぐれに膝の上へと身を伸ばすやわい獣のぬくい重さは
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早朝に重い深紅の野イチゴがつゆたたえるみずみずしさよ
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窓をけレモンソーダの泡が立つ酸っぱい顔で笑い出す夏
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山盛りのかごのレモンを手に取って強く吸い込み香る清爽
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白桃の甘い果肉に溺れゆく溢れる汁がつたうのはひじ
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初露はつつゆで跳ねる羽音とさえずりが寝起きの街に朝を教える
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お祭りの夜に賑わう端っこでラムネの瓶は夏を見送る
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たこ焼きを冷めたベンチでふたりして息だけ吐いてまだ食べてない
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高山が朝の光に照らされるもくして一歩力を込める
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うねりすら受け入れながら脈を打つひらいて閉じて死なないクラゲ
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屋上で風にあおられ乾く布軽くなるたび熱をこぼした
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青空の下で交わした約束が消えなければと願った夏を
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本を読み文字に惹かれて想うのは遥か遠くで生きる人々
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壁画とは過去の誰かがたくした絵無音の声をただ聞きたくて
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額縁がはしゃぐあるじ溜息ためいきをこいつは三度絵に惚れている
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星空の下で触れてる肩の先寄り添う影が風にたゆたう
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風鈴の音が混ざって夏の空やけに重たい夜が近づく
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ひまわりがを追わされて曲がるけど折れない意地を天に伝えた
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パツパツと皮の張ってるトマトには夏の光が満ち満ちている
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増えたのは日焼けのあととそばかすで皆が等しく夏をくぐった
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種が飛ぶその一瞬の隙間からスイカの汁が喉をすりぬけ
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濡れた葉とつやめく粒がきらめいて私を誘うブドウの房よ
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おにぎりの海苔がパリッと鳴るくらい夏の朝には風がほしいと
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ひやむぎの白さに涼を見つけたら大葉をんで気取ってみたり
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焼きそばの屋台の前で決心し「ソース多め」と言ってた子ども
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