榎本明音
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短歌の表記は口語・現代仮名遣いです。自然や季節を中心に、食べ物や日常の出来事など明るいトーンの内容が多め。ほぼ全て定型遵守。
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砂浜で真白の貝を拾ったらバキリと折れてまた砂に成る
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起きたてで目が閉じている雛鳥ひなどりに春を告げるか母鳥の声
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菜の花を踏まずに歩く健脚が春の土へと確かに触れる
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甘辛のタレが絡まる肉巻きは陶器の皿で熱く輝き
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菜の花の黄色い波を道として歩きほほえむ恵みの春よ
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白薔薇は雨に濡れてもうつむかずひとつふたつと雫をいだ
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緩やかに流されるまま昼寝して夢とうつつが溶ける境目さかいめ
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やみくもに流れた汗は滝のよう自分の軸がぐらりドロドロ
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替え玉を頼む間合いを見計らう麺のかたさに迷いはないと
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ツナサンドかぶりついたらオイルまでマヨの塩気と昼のざわめき
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スキー板雪を切り裂き飛んでいく舞った氷は音を追い越し
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大波を蹴って跳んでは弧をえがき進むイルカの背中に光
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包装を爪で破いて漂った贈り物から君のぬくもり
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雨粒が薔薇と戯れ楚々な庭茎をつたって土に溶けゆく
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きのこ傘雨に弾かれ艶を増す誰も知らない朝のはじまり
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トロピカルジュースの海に浮く島の特産品はたぶんデコポン
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厳格な波の端へと日が沈む海の向こうに明日を隠して
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川縁かわべりで朽ちた座席が泳ぐ日々流れる水は澄み切っている
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瓶の中光を閉じた花たちが過ぎた時間を照らし続ける
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公園で弾むボールを追いかけて影がしばしば重なる薄暮はくぼ
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ハイヒール踏み出すたびに背伸びして脚の痛みを捻じ伏せていく
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おにぎりの塩のしずくが手に残りまばゆい海をふと思い出す
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レタス葉がシャキリと響くキッチンで銀のシンクは朝日で光り
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散らばった本がジト目で睨んでる待ってよすぐに追いつくからさ
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氷上でが物顔のアザラシは冬の日差しを贅沢に浴び
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夜空にはまあるい月が満たされて女の頬を白く照らした
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雨音がベランダ越しに踊る夜ランプをけて静寂を待つ
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騙すならちゃんとしっかり騙してよ剥がれた嘘を愛させないで
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錫杯のごくまろやかな側面に伝う響きは真摯な祈り
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上品にグラスの縁へ添えられたライムを素手で絞っていいの
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