榎本明音
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短歌にハマってつくったアカウントです。
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電線をゆっくり歩くすずめたち夕日の色にぽてりと溶けて
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天井を超合金の鉤爪かぎづめで引き裂いたなら清い群青
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雨が止み空に架かった七つ色根を掘り返せ虹が呼んでる
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高架下錆びたボルトを拾い上げ銅の息吹きが真昼に響く
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林から見えた電車の最後尾鉄の叫びは遥か遠くて
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帰り道首が後ろに倒れたら遠くで星がまたたいていた
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けて黒々とした闇の中吐く息だけが白くぼやける
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涼やかな朝のしじまが喉をつく酸素は巡りぎらりとめる
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船に乗り酔いはおのれを責めるけどきらめく海はなにも言わない
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けわしくて足は自然と立ち止まる空を仰げばみねはまだ先
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へぎそばがプツリと切れてもう一度もちりもちもち頬が落ちそう
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炎なら影法師すら焼き尽くす花のむくろの灰さえ消して
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踏切で止まる車の窓越しに少し揺れてたスカーフの赤
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肉を買う君の隣で眺めてる扉の奥の冷気の白さ
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新品の靴で踏み出す通学路小鳥の歌に歩みを合わせ
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揺れるたび輝いたのはイヤリング今宵のぬしが一番強い
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朝焼けが洗濯物を染め上げる干した布には風が眠る
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週末は家の全てを掃除中ちちんぷいぷいあら効果なし
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走らせたペンの音色は変わらずに身を乗り出して机は軋み
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あと五秒サンニーイチと歌ったら日の出のきんが今注がれて
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積雪のならす力に息を呑むひたすら続く白銀の田よ
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やっとこさ磨いた部屋の窓ガラス遠くの山がくっきりしてる
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静謐せいひつな森の奥へと踏み込めば流れる風が安堵をくれる
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ゼイゼイと登った果ての山頂で雲の広さを初めて知った
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花束を抱え直して香り立ち最後の世辞を口からこぼ
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張りつめて放つ矢先の彼方かなたまでただ一心に射続けるのみ
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窓辺にはちびな多肉が並んでる淡い緑が愛とか語る
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駅前で焦る人らが足早に青信号を摑む瞬間
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ひと息で澄んだ空気が胸に満ち痛くなるほど冷たい朝よ
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海水は止まることなく輝いて絶えない青に吸われる意識
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