榎本明音
8
8
投稿数
153

短歌の表記は口語・現代仮名遣いです。自然や季節を中心に、食べ物や日常の出来事など明るいトーンの内容が多め。ほぼ全て定型遵守。
Twitter(X)→ https://x.com/enomoto_a_19

静謐せいひつな森の奥へと踏み込めば流れる風が安堵をくれる
5
ゼイゼイと登った果ての山頂で雲の広さを初めて知った
9
花束を抱え直して香り立ち最後の世辞を口からこぼ
6
張りつめて放つ矢先の彼方かなたまでただ一心に射続けるのみ
7
窓辺にはちびな多肉が並んでる淡い緑が愛とか語る
9
駅前で焦る人らが足早に青信号を摑む瞬間
10
ひと息で澄んだ空気が胸に満ち痛くなるほど冷たい朝よ
8
海水は止まることなく輝いて絶えない青に吸われる意識
4
凛と立つ雪の女王じょおうの白百合は気高けだかい笑みで視線を奪う
10
ホイップとカラメルを背負しょう甘味たち小さな匙で口に運ばれ
7
アルコール飲んでないけど計算を米の旨味に糖質を見る
6
髪の毛の伸びる速度が早すぎる指で追ったらとぅるんと跳ねた
6
街角のアートがぬんと現れてしゃべんないから声を掛けたの
8
惜しみなく巨大ボトルの化粧水朝の肌へとひたひたに
11
濃厚な塩けが舌に余韻ありチーズひとつで幸せを知る
10
紙パック冷たい白がしっとりと飲み干してすぐ皮膚ひふが潤う
3
指先で触れる景色はハワイ島光る板から旅路たびじが映る
8
駅前に等値とうちな星が散らばって夜には少しまぶしすぎるね
7
水滴が肌を撫でてひんやりとあてたタオルの熱さを探す
4
灰色の水の中から浮き上がるやはり酸素が恋しいようだ
5
水中に深く潜れば音は無くしかし浮力が上へいざな
6
隣でさ目がくらむほど魅せてくれ終幕までの君の生きざま
3
同じ背と同じ目線で生きたなら泣いて叫んで逃げ出すくせに
4
同じ背で同じ目線になれたなら今よりもっと寄り添えるかな
9
懐かれる優しさなんて持ち得ないけれどもなぜかそばにいる人
8
築かれた価値と倫理が違うから見た目が好きと言えるみたいだ
8
額縁に閉じ込められたパノラマが見られるたびにまた息をする
5
健康を三千円で買ってみる腕にちくりと痛みのおつり
13
ようやっとが手に得たと誇らしげページをめくる雨降りの午後
9
定量と定性だけが冷静で集めた数の意味を暴いて
4