榎本明音
10
10
投稿数
184

短歌集を通販してます→ https://enomoto19.booth.pm/

短歌の表記は口語・現代仮名遣いです。自然や季節を中心に、食べ物や日常の出来事など明るいトーンの内容が多め。ほぼ全て定型遵守。
Twitter(X)→ https://x.com/enomoto_a_19

やっとこさ磨いた部屋の窓ガラス遠くの山がくっきりしてる
8
静謐(せいひつ)な森の奥へと踏み込めば流れる風が安堵をくれる
4
ゼイゼイと登った果ての山頂で雲の広さを初めて知った
8
花束を抱え直して香り立ち最後の世辞を口から零(こぼ)す
5
張りつめて放つ矢先の彼方(かなた)までただ一心に射続けるのみ
7
窓辺にはちびな多肉が並んでる淡い緑が愛とか語る
8
駅前で焦る人らが足早に青信号を摑む瞬間
9
ひと息で澄んだ空気が胸に満ち痛くなるほど冷たい朝よ
7
海水は止まることなく輝いて絶えない青に吸われる意識
4
凛と立つ雪の女王(じょおう)の白百合は気高(けだか)い笑みで視線を奪う
9
ホイップとカラメルを背負(しょ)う甘味たち小さな匙で口に運ばれ
7
アルコール飲んでないけど計算を米の旨味に糖質を見る
5
髪の毛の伸びる速度が早すぎる指で追ったらとぅるんと跳ねた
6
街角のアートがぬんと現れて喋(しゃべ)んないから声を掛けたの
8
惜しみなく巨大ボトルの化粧水朝の肌へとひたひたに触(ふ)れ
10
濃厚な塩けが舌に余韻ありチーズひとつで幸せを知る
9
紙パック冷たい白がしっとりと飲み干してすぐ皮膚(ひふ)が潤う
3
指先で触れる景色はハワイ島光る板から旅路(たびじ)が映る
7
駅前に等値(とうち)な星が散らばって夜には少しまぶしすぎるね
7
水滴が肌を撫でてひんやりとあてたタオルの熱さを探す
4
灰色の水の中から浮き上がるやはり酸素が恋しいようだ
4
水中に深く潜れば音は無くしかし浮力が上へ誘(いざな)う
5
隣でさ目がくらむほど魅せてくれ終幕までの君の生き様(ざま)
3
同じ背と同じ目線で生きたなら泣いて叫んで逃げ出すくせに
4
同じ背で同じ目線になれたなら今よりもっと寄り添えるかな
8
懐かれる優しさなんて持ち得ないけれどもなぜか傍(そば)にいる人
7
築かれた価値と倫理が違うから見た目が好きと言えるみたいだ
7
額縁に閉じ込められたパノラマが見られるたびにまた息をする
4
健康を三千円で買ってみる腕にちくりと痛みのおつり
12
ようやっと我(わ)が手に得たと誇らしげページをめくる雨降りの午後
8