榎本明音
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短歌にハマってつくったアカウントです。
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上品にグラスの縁へ添えられたライムを素手で絞っていいの
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鍋の中つみれがぷかり浮かび出てやめろ肉だけ取ろうとするな
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卵黄をひとつ残してたそがれる米と混ぜたら明日は晴れる
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日課だと割り切ってから鈍くなる飾っただけのログボの山よ
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どうしても爪の先から香る冬部屋でぬくぬくミカン剥いてる
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夜明けから川を渡って進みゆくオールに縋る白い手の豆
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冷たさに頬がきしんで目を閉じる風切る音は冬の言祝ことほ
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光量の数値を測る機械にて測定不可を発するあなた
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岩の上牡蠣が育てたシェルターを割ればしたたる潮の記憶よ
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電線をゆっくり歩くすずめたち夕日の色にぽてりと溶けて
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天井を超合金の鉤爪かぎづめで引き裂いたなら清い群青
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雨が止み空に架かった七つ色根を掘り返せ虹が呼んでる
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高架下錆びたボルトを拾い上げ銅の息吹きが真昼に響く
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林から見えた電車の最後尾鉄の叫びは遥か遠くて
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帰り道首が後ろに倒れたら遠くで星がまたたいていた
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けて黒々とした闇の中吐く息だけが白くぼやける
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涼やかな朝のしじまが喉をつく酸素は巡りぎらりとめる
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船に乗り酔いはおのれを責めるけどきらめく海はなにも言わない
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けわしくて足は自然と立ち止まる空を仰げばみねはまだ先
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へぎそばがプツリと切れてもう一度もちりもちもち頬が落ちそう
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炎なら影法師すら焼き尽くす花のむくろの灰さえ消して
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踏切で止まる車の窓越しに少し揺れてたスカーフの赤
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肉を買う君の隣で眺めてる扉の奥の冷気の白さ
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新品の靴で踏み出す通学路小鳥の歌に歩みを合わせ
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揺れるたび輝いたのはイヤリング今宵のぬしが一番強い
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朝焼けが洗濯物を染め上げる干した布には風が眠る
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週末は家の全てを掃除中ちちんぷいぷいあら効果なし
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走らせたペンの音色は変わらずに身を乗り出して机は軋み
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あと五秒サンニーイチと歌ったら日の出のきんが今注がれて
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積雪のならす力に息を呑むひたすら続く白銀の田よ
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