の岸に通じる電話あったらと 声が聴きたい話がしたいよ
28
焼きたてのコロッケパンを買いに行く 娘も吾もおいしいにおい
23
蔦の葉に雫光りしあの朝を思ひ出すなり 母の命日 /三回忌
27
好きなのはピーチのフラペチーノじゃなく、 君だ、君が好きだったんだ。
8
湖と海とを分ける砂州に咲く花々を愛で自転車を漕ぐ
28
バニラビーンズと目があうバニラアイス 背中はまかせた言わずもがな
3
青空も入道雲も手の平に光った赤もすべて君の色/ドラえもん短歌
4
ネズミがね横断歩道を渡りかけ クルマに気づいて戻っていったよ
5
お盆の日にだけ食卓賑わせる 私がご先祖様だったのか
7
背伸びして 掴み取りたし 夏の雲 立ち働いた 夕暮れの街
28
人間を残念な生き物と言う勿れ だって僕たち人間だもの
5
飯事ままごと白粉花おしろいばなの 色水を コップにそそぎ カンパイのまね
29
お買い物? 何を買いに? と問はれたら 夢を買いに、と答えるだろう
18
歌にして飲み込んでしまいたい気持ちに限って言葉行方知れず
14
チューバなら低いしここでも聞こえるね七時間目に二人分け合う
10
わざわざと電車を乗り継ぎ喧騒へスマホ開いて「落ち着いたカフェ」
9
お互いに点を奪いあう甲子園クーリングタイムスタート
7
体力の残%を表示できればあと少しだけ優しくなれる
8
肉の街個々の思惑が交差する顔から下だけ楽しんでいる
4
あの家に憧れてごらん あの雲に恋をしてごらん いつかぜんぶ手にいれてごらんぼうや
8
てのひらに収まる小さなスニーカーそんな季節もそろそろ終わり /吾子三歳
42
前世紀ホロコーストに遭った民なぜに生かさぬ歴史の教訓
18
イスラエル、ガザの市民の殺戮を決定したと言うほかは無し
11
旅行先いる気がしてついすまし顔これでほんとにいたらいいのに
11
夏の昼暗い寝室横たわりカーテン向こうの日差しを見つめ
11
頭がね 重い人ほど お辞儀がね 上手いんだって ひまわり畑
10
幸せになりたい 幸せにしてほしい 僕から君へは けっして言えない
18
同年の子があほらしく騒ぐや少し熟れすぎた吾の春服
7
濡れた羊歯しだ 想いはめぐる ジャングルや 恐竜たちが 群れ行く大地
13
自然には 人抗えぬ いつの世も 荒ぶる雷雨 加減を知らず
15