浴槽に水が入っててなんか俺お湯じゃなきゃダメとか知らなくて
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友からの「HELP!プチ鬱」ライン見て可笑しくはあり聞きたくはなし
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クレジットカード会社を装った迷惑メールごみ箱埋める
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既読すらならないLINEでも送る報連相や家族の予定
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朝になりジャムもつけずにパンかじる生きたくもなし死にたくもなし
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汚れもの洗った指のあかぎれにクリームを塗るわたしを労る
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目に入る四角いセカイが眩しい 背にしたストーブは温かい
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この電車動くと君は過去になる雪がやむころ想い出となり
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鍋の出汁沸いて昆布を取り出せば冬はゆっくり時間がすぎる
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暗くとも明るくともただ歌を詠むだけで楽しい曇る気も晴れる
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浅く吸う フォルテの煙は濃厚で 寒空のような寂しさもある
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枯れ葉散る道のほとりの水溜まり薄き氷に朝日差し初む
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清濁をあわせ呑むすべ理解わからずに ずるい人の善さ見出せず嫌う
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介護する人らは皆分かってる だから自分を責めなくてもいい/きのぽ様
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大寒に入りても開かぬスキー場 子等の声など聞こえぬ睦月
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電線をゆっくり歩くすずめたち夕日の色にぽてりと溶けて
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六年の昔は要らずこんなにも幾種の薬キティちゃんポーチ
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決断を重ねた先が「生きる」なら何も決めないゾンビデーでも
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順番に背骨をなでる指先が今夜はすこしだけふるえてる
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きみの目がゆらめく緋色を反射して秘めた想いが溢れこぼれる
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木漏れ日を知らずに生きた老いもぐら木の根にもたれ玉露をすする
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はからずも大きな案件ふいにくる ビンと背を張る我は営業
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婚活で来し方軽く棚卸し ありがとう良い人生だった
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アプリからおすすめされた天才を見て俺もなにか熱する何かを
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くらやみにひしめく星は血走ってわたしの罪をつまびらかにする
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麦畑でミットを持ってジンを飲み文学みたいに生きていけたら
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立て続く 学級閉鎖に 教室は 静寂の中 彼等かれらを待つ
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ひとに ずかしながら 嗚咽おえつする 女々しい我を 誰も見ないで…
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あったかや小さな家のお風呂でもあったかやあったかや
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冬空の 星のまたたき 何を問う 生くる人みな 等価交換
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