「待ってよ。」と叫ぶあの子の声を背に 振り返らずに 過ぎし最期よ
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いつの日か「結婚しよう。」と誓い合い 薬指には紙の指輪
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生を受け 初めて出来た 綾の子と 呼吸を重ね ひとつの世界
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家向かう 重たき腰を ひっぱたき 帰らぬ理由 仕事に求む
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月の裏 暗闇歪み 弟の 才能に胸 愛し傷ませいたませ
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あのあれは 誰やったかな あのテレビ ドラマも出てて 何もでてこず
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僕以外すきになって欲しくない 好きじゃなくても別にいいよ
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手を繋ぐ隙間で 少年の綿の刀が斬った 何かを告げる雪
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わたしから 産まれるものは醜くて 生まれぬ君を愛しくおもう
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君が落とした消しゴム 僕が拾う間の秒針 六フレーム
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やっぱり麦茶はこの味が安心するなぁって、 彼女の家で
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ハレとケと悲しい顔と笑い声 私が魔法をかけてあげたい
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雪山とツルツル路面で引きこもり隅々たしかむ冷凍庫など
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屍の日々を忘れて求酸素 不安が生きてる喜びですか
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なんということもない事なんとなく上手くできないそんな今日です
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馬鹿にされ稼いだお金 馬鹿にして稼いだお金 似て非なるもの
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動かざる思ひ知りたる雨の歌ひとり受けたしあゆみ静かに
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神様の抜け殻 バスが進んでく 行き先は子宮 水子様前
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人間が exponential jΘ この箱の中じゃ呼吸もいらない
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山眠る音なき雪の降りしきり影さえ凍り足音までも氷結す
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神棚に 飾って拝むは やめとくれ われはまだまだ お陀仏でなし
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山頂に雲海広がる遠き峰朝日の中に地球の鼓動が
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洗面所に 柚子の香 ふわり香り立つ もうじき冬至 じきクリスマス
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院長室 無数に並ぶ 頭蓋骨 この手が切りし 頭のモデル
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モノクロの写真に見つける傷跡はたくさんの血が流れた水路
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脅迫まがいの愛も悪くない 死ぬために生きている我らに
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医者となり 年末正月 当直で 家にありしは 二十四の冬まで
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ともる灯の明るさ増しつつ急速に雲は厚みを増す窓の外
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旅立った 家族を思ひ 見上げるは 星が輝く 新月前夜
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記憶なく 履歴もなくて 宅配の 配達予告に 疑心暗鬼す
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