好きなのはばんそうこうじゃなくってさ あなたが触れてくれることです
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ちいさくてかわいいものよ ウチの老犬よ ウチの子はずっとウチの子のまま
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だしぬけに浮かぶあの日の発言になんて愚かと動悸と目眩
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半身をぬらしてきみの差し掛くる傘にはいれば世界はふたり
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この街で あなたに出会い 見送った  見慣れた夜に 初めての月
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「死ぬならば愚かに死んだほうが良い」口癖の君 僕を庇いて
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創作の 閃き来たり いざ着手 指のペンだこ また膨らむよ
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もし君がうれいに沈み悩む時、僕が寄り添いゆうに変えたい
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長雨に湿ったこころ乾かして 雲の切れ間にほととぎす鳴く
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誰にでもいつか迎える夜がある何も恐れずゆっくりおやすみ
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風そよぎ 柳の枝は 折れずとも しなやかに吹け 心の隅に
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飲む点滴 「甘酒アイスは栄養だ」 言ひて本日 2種めのアイス
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「いくつです?」聞かれ思わず「よんじゅう…あー違います、ごじゅうだいです」
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愛ください1%でいいからさ 私が100倍愛しますから
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高校で出会った摂食障害を 今日も抱えて優しく生きる
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若き頃いくつかあった分かれ道 正解だったか誰も知らない
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性別を訊く君たちに僕は問う。どう答えたら喜びますか?
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夏の日の訪う人もなき鎖塚百余年後を車が行き交う
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なんとなくリズムを取ったお囃子が病棟中に鳴り渡る朝
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略章の掠奪者ども略伝で略装のままリャマを率いて
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目的地なんてないけどただ歩む 僕の人生遊歩道かな
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誉れなど時経るごとに色褪せて 進まなければ過去の栄光
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二十年 不義理を尽くした 兄上と 初めて呑んだ 夜空の蒼さよ
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認められなくても生きていくように喩えた色で塗った爪先
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ぷくぷくと 赤黄ピンクの ヒペリカム お前は花か? それとも実なのか?
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きみどりの髪のナースが急患へ必死に必死に呼びかける声
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「つまらない大人になれておめでとう」自動配信メールが祝う
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すれ違いざまにあなたの手を取ってきらきら星の音が狂った
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「それは愛?」問うのは君、空からの使者 血塗れの中そうだと言う僕
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政治も会社も、いびつな組織力に支配され、正しくならない、一人で変えられない、テーマソングは、滅びのメロディか
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