麦熟るる野にかげろふのたつまひるおほに相みしひとぞ恋しき
0
あの頃にツツジの蜜を吸いし口 同じ形で君をむ今日
2
酒だ酒 酒だ酒酒さけのめば すぐねむくなって ゆめみ ごこち さ …
1
早苗田のあぜみちゆけば山やまのすがたうつしてあかるきかがみ
1
ホァタタタ アタタホァタタ アタタタタ アタタタタタタ ホァタタタタァ!
2
ワンルーム 窓に映ったあたらしいあたしとあたしらしいあした
1
肺を出る煙がふわり霧散した体痛めつけたい夢想
1
泣きぬれしねざめの床にほのかなる雨のにほひのゆめのあとさき
0
もし仮に一人殺して良いとして貴方は誰を思い浮かべた?
0
今日もまた死んだふりして生きている七時の満員電車の中で
2
溜め込んだ洗濯物を干してみて計画性の偉大さを知る
3
おもむろにきみは左手 耳にあて ほほえみながら話すはノイズ
0
調べれば調べるほどにわからなくなる これが世界か やあ、世界
2
今朝もまた浮かぶメアリー・セレストの風景に似た湯気の珈琲
1
学生の授業でこゝろを取り上げて性癖曲げるそのこころとは
1
昨晩は倒れしバラも水を得て朝にほころぶかぐわしきせい
0
ひとさじのナツメグをふるグラタンの香のなつかしき夏めぐりきぬ
1
トレロカモミロをとこのなかのをとこなりたたかひよりも昼寝のすきな
1
文字越しに彼の世界を覗き見る彼女を愛し捨てる運命
2
隣人が帰ると必ず雨が降るきっと龍神の加護を受けてる
2
教科書のなかで舞い散る金色のエリスの嘆きノートに写す
4
潔癖な貴方の白に染められてカレーうどんが啜れずにいる
3
触れたなら ひやりと香る 木百香 緑は萌える 枝は伸びゆく
0
「ただいま」と言うあなたに「おかえり」と言うだけの仕事、心臓ないけど。
0
若き日に太宰の本を読み耽りセンチメンタル斜陽館に入る
1
優しさは花に似てると言うけれど日が当たらねば芽吹きもしない
4
目の前のあなたと向かい合う時は化石を発掘してゆく気持ち
0
小鳥達電線の上をてんてんと小股に早歩き続けるかな
0
かれはてしなみだのもとをたづぬればかなたに消ゆるなつの逃げみづ
0
僕たちは鱗をきらめかせて泳ぐ流れに逆らい身を委ねつつ
4