金木犀香りを嗅ぐと涙出て秋が巡って来たのだとと知る
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山上の祠見下ろす川のに生命の群れ風の呼ぶ声
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大鷲の滑空 首が落ちるみたいにきみが目を閉じて夜だね
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醒めたなら砂漠 死よりも失って淡く掴んだ砂のさらさら
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はやあしで自転車を漕ぐどこまでも行き着く未来きみに幸あれ
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秋声の登山の一言「やくやった」さざ波のごとく鼓動が響く
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カーテンを引くように目を閉じたとて中の自分が見えてくるだけ
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キリストの像を一瞥して君は痩せてて喧嘩が弱そうと言う
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道端で正しい煙草の吸い方の先生をする君は十八
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雑草という名の草はなく夕顔の鉢で共に花咲く
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紙上では整列している文字たちが脳の隙間を這いずり回る
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焦がれても 抱き締めてなどもらえない 罪の意識に燃える火柱
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美しい人だと見蕩れ 立ち竦む間に夜空へ消えていった
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朱と青の空のトーンが重なって滲む地平の長さは無理数
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いきたいを生きたいというヒトに会いたくない こちとらいつでも逝きたいもんで
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「かけがえのないいのち」なんてよく言うぜ 人身事故の知らせに舌打ち
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失敗も成功すらも馬鹿馬鹿しい 君に届かぬならなにもかも
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大輪のダリアが見下ろすチビ助の私はいつでもちんちくりんだ
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夜に駆けこころをしたため春死なむ東尋坊でひとり心中
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冷蔵庫 毎日覗くはずなのに 今日も使わぬ粒マスタード
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なけなしと言われる「それ」を感じれば 心の隅の体温が上がる
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臥し仰ぐ 窓の向こうの青い空 ちいちゃい雲に 手で触れたくて
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一人でもパーティー開けをしたならばそこはパーティー会場なんだよ
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UFOとウィンナー塩豚ポテトチップこれで完成最終兵器
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灯台の裏の暗いアパートで初めて見ましたあなたのちくわ
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英国の紳士がさらった純白の花嫁あなたの最愛の人
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ジョッキをね持つ手がこうしてひっくり返るそうなってくるともうダメなの
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暗室の虜になった冒険の貴女いまは恍惚の人となりにけり
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プーチンの顔は怖いよ私よりいやいやいい勝負だよお母さん
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月影の歌は死者を弔うか遺されたものだけが音程を外す
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