学生の授業でこゝろを取り上げて性癖曲げるそのこころとは
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昨晩は倒れしバラも水を得て朝にほころぶかぐわしきせい
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ひとさじのナツメグをふるグラタンの香のなつかしき夏めぐりきぬ
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トレロカモミロをとこのなかのをとこなりたたかひよりも昼寝のすきな
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文字越しに彼の世界を覗き見る彼女を愛し捨てる運命
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隣人が帰ると必ず雨が降るきっと龍神の加護を受けてる
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教科書のなかで舞い散る金色のエリスの嘆きノートに写す
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潔癖な貴方の白に染められてカレーうどんが啜れずにいる
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触れたなら ひやりと香る 木百香 緑は萌える 枝は伸びゆく
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「ただいま」と言うあなたに「おかえり」と言うだけの仕事、心臓ないけど。
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若き日に太宰の本を読み耽りセンチメンタル斜陽館に入る
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優しさは花に似てると言うけれど日が当たらねば芽吹きもしない
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目の前のあなたと向かい合う時は化石を発掘してゆく気持ち
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小鳥達電線の上をてんてんと小股に早歩き続けるかな
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かれはてしなみだのもとをたづぬればかなたに消ゆるなつの逃げみづ
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僕たちは鱗をきらめかせて泳ぐ流れに逆らい身を委ねつつ
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君の瞳のレーザービームで俺の世界は焼滅したんだ
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古写真 手に取り見れば 色あせて しかし脳裏は より鮮やかに
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鈍色の空の隙間を縫うように今はまだこの悲しみと共に
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今夜から一人で眠ると思っても、寂しくはない、ことが寂しい
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二度寝してなんだかすごい夢を見たけれど忘れた前世のように
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平穏を護る為なら卑怯とも呼ばれようとも断絶選ぶ
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命日が来るとかさぶた剥がされて家族と言う名の病か呪縛
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われもまたひとりのトマスきずぐちにゆびさし入れてなほもうたがふ
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引越しの段ボールが部屋を埋めてく さらば青春、もう帰らない
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会いたいと書いては消してを繰り返し下書きばかり増えていく夜
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ぼんやりと 浮かぶ手鞠に 驚けば 逢魔が時の 白き紫陽花
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受け取った 袋の重さに 頬ゆるむ 腕に抱きしは 我が宝なり
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梅雨空が落とすしずくは葉まだらに伝ひてぱらりぱらぱらぱらり
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雨と鳥と川と私の息遣い生きているからいつもどこかで
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