揺れそよぐすすき穂とまる赤とんぼ飛べ空よりもまだ空の上
10
塩茹でのピーナツかじる冷えた朝ことしも終わる十二週後
2
この星が わたしのものでなくっても 月が欠けても それでもきっと
1
足湯くらいなら用意できるかもここ最近に流した涙で
1
雨上がり道照らす月静かなり 雲のまた上 宇宙そらの確かさ
8
点と線だけで描ける恋模様本当はもっと笑いたいのに
0
「人生」をやってはいても「人生」のために生きたいとは思えない
1
翼する役目を終えて銀色の表紙を畳むペーパーバック
3
一日はまた排水口に落ちていく 捻った覚えのない蛇口から
6
ニンニクが広がっていく昼休み不織布マスク内側の悲劇
1
異世界に転生しない人たちの魔法が今日も世界を変える
3
夜深し持て余すほど自意識の発酵文字できみ焼くパン屋
1
春星やいつの日かこの毒杯に乾杯という波をおしえて
2
まだきみに春を教えてあげたくて萎えた林檎を前歯で齧る
1
エコバッグの持ち手が裂けた この世には永遠なんてものは無かった
2
洗顔の泡立てネットに立つ泡に洗われていく昨日の私
5
夜明け前秋雨の終わり窓を打つ始まりはある心は放つ
2
明日の雨出来れば私に降り注ぎそのまま溶かして消してくれぬか
3
見つめてるブルーライトのその先に知らないおまえの輪郭浮かべて
2
酒よりも風邪薬飲んで酩酊し出来ればすべて忘れてしまおう
3
ひかりたつ動物園の外側のホモ・サピエンスのエリアで暮らす
2
駅前のゲロを跨いで私たちこれからずっと森で暮らすの
3
秋の夜を僕だけのため使いきる鳴くか鳴かぬかスマホ眺めて
11
棒人間好きなんだよな人がみなこんなふうならよかったのにな
2
イヤホンが壊れて聞こえぬ左側 君の声まで奪われたようで
3
こんな日はVANの袋とブックベルト 金木犀の香る青空
2
ないものはどうでもよかった 未来とか、可能性とか、生きる意味とか
5
長靴が持ち主捨ててアスファルト寂しそうやら気楽そうやら
10
この歌を君が好きだと聞いたからLINEのBGMにしとくね
2
雨の日の思案 嫌なことをするのは本当にためになるのかな
1