明日には 今日を昨日と思うから セピアに染まる夕焼けの空
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遡上する鮭が見られる街の川身投げするのも案件に置く
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降りしきる 桜の花の儚さは 届かぬ私の想いにも似て
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白昼に逢えたよ微睡む夢路にて リアル世界ではラビリンス
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麗らかに春は呼びます窓の外淡い色味の手招きの影
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春が来るから みんなの思い出でいっぱいになる前に 缶チューハイと桜の木の下を夜歩く三月
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マックから見える笑顔のかたまりは 幸せいっぱい春間近
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痒い目に 飛び込むの先 窓開けて マスク外した 無敵かな
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ロケットの発射準備の既視感の正体はそうヱヴァンゲリヲン
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麗らかな日差しの中のうたた寝でやがて資産家になる予定だ
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草花は春も記憶も呼び起こす 祖母と下った黄色い小道
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こく前に亭主へ尻を向け直し音まで立てて「あら恥ずかしい」
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跳び箱は跳べなくたっていいじゃない、とは気軽には言えない現実リアル
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子のために納品帰り寄る耳鼻科 順番を取る季節始まる
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一掬のきれいな追想たちはまだ美しき朝に吹き荒れている
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三月の風のごとくに青春は過ぎにけらしなわれにも君も
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殴られるまで殴られる痛みがわからないから馬鹿なんだろう
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良い梅と眺めていれば税務署の人かと家の主が出てくる
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坂道の上より見ればわが家の瓦の屋根が輝いている
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3時ごろ目覚めていれば新聞を配る単車か音が聞こえる
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渓谷を黄色く染める福寿草 新聞で知る山里の春
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魚の日は世界のじいじいの日じゃあじの開きの焼いたにおいを
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バイト先 先輩たちの 門出を祝う どこか嬉しく 寂しく儚い
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役目終えた制服と共に捨て去ろう あの子の笑顔一つ残して
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ぽたり、ぽた、ぽたぽた、ぽたり、忍耐は、ほんのすこしで決壊するもの
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卓囲み地区集会でたいらでも躓くよねとかたらいました
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がりがりと歯ブラシの軸を噛み砕く そんな夢でも 心晴れまじ
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甘辛く いかなご炊く香 春告げる 名人のくぎ煮 心持ちする
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新しきショップカード作りたる13缶のひとときの息
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肉や野菜、ガスで起こした火を通し、箸を使って明日のカラダへ
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