うろたえる私を置いて片腕のシャルル・ペローはただ前に行く
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ご破算にしましょう今朝の口げんか「ごめん」の代わりに今夜はシチュウ
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人のいない世界を造り出すことも人の造った言葉でできる
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マダラとかシジミと名の付く蝶々はそれでも秋の花に寄り添う
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瘡蓋の剥がれた痕の艶やかな新しい心悲しくはない
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モナ・リザの鼻頭が赤く染まるなら 僕は彼女を愛したのだが
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アクリルのキーホルダーが鉄琴の音して通学路にこぼれる晩
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木琴の音でローファー踏み鳴らす 誰かに逢いにいくのでしょうか
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指切りをした後でその指を切り落とすみたいなズルをしました
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突き止めてみてよあなたの口笛でゆれる炎のアルゴリズムを
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数億のガーランドライト 光らない一つを全ての終わりというか
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新鮮な秋の空際伸びをしてあなたに流す空き瓶を洗う
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古池や彼の日の声は岩に沁み森と静まる耳に木霊す
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湯を沸かす雑じり気のない透明に透かさずそっと色を一差し
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白は「色」染まらない白を愛して ただ真っ白であるだけの価値
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ニケツして漕ぐチャリ午後五時河川沿い橋の上から見ていた一人
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地方と都市境目は今薄れてくゴジラが行き先決めあぐねてる
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もう顔も忘れてしまったあの人の纏った香りで話しかける君
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唇をすぼめて生命いのちを吸い込んで舌をくすぐる光の粒子
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「死ねば無だ」「滅んだら無だ」まあそれはそうなんだけど明日も仕事だ
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雀たちに起こされ見つめた冬の空微睡む私に青見せつける
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「体調はどうか」と電話しながらに身体ぶるっと震えて寂し
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窓ガラス額つけつつため息で始発のバスは我ために発つ
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いつまでも既読にならない「またいつか」消してしまう勇気はないから
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あしたこそ未来の私に期待過多 きっとできるよ任せておくね
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一年の残り日数数えては夜をやたらと引き伸ばしている
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あかぼしの明くバルコニーを包むような真紅は二人に限られていた
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あのひとが 私の歳を越えたとき そばで笑っている花であれ
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冷えた雨が薄い傘を打つ きのうよりふわふわのふとんでねむる
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“愛”なんて “永遠”なんて “夢”なんて 嘘か誠か 夢か現か
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