柔らかく秋の日差しの射している手に何も無くただ怒り湧く
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端っこにケチャップのあと残ってる在宅勤務で使った書類
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破裂したポップコーンを噛み砕きかつての恋の未練を潰す
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草ぴえん真顔で打って表情が強張っていくツイ廃ライフ
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だいじょうぶ、あなたは優しい子ですよと撫でる首筋ミルクの残り香
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好きなのを 辞める理由を探してる 見つけたくない 見つけたい なぜ?
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チョコケーキ しずかに降った粉砂糖 冬の山地を思い出します
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恋はいつ 覚めるのでしょうか あの人が〝人間〞なのだと気づいた日から
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ほんものの味も知らないままずっと柘榴ひとつぶ噛み締めている
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「君のこと知らないけれど助けたい」なんてバカ言え神のつもりか
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優しさじゃなく甘さでもいいのかな 貴方にならば 貴方にだけは
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銃かまえ 「バキュン」と言わず「ピッ」と言う  我が子はポストコロナを生きる
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「会いたいね」と言葉にしてくれるから 満たされてしまったよ、生きるね
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暮れなずむ金木犀の帰り道 画面越しでも伝わりますか
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お付き合い 結婚別れ 痴話喧嘩 全部含めて 一人じゃできない
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歌うたい働き歌い働いて畑や空で歌った祖父母
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舞うように君が帰ってゆくからさ色鮮やかな秋の夕暮れ
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鈴が鳴るりんごりりんごりりりんご手と手と手たち呼ばれましたか
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謙譲語をマスターした日にボールペンを通常使いへ君はかえたね
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申し訳ありませんとかさらさらとあなたが詫びるここは家庭よ
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銀杏の匂いを描くクレヨンの丸いいびつな縮れたかたち
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反省の短針の文字が遅すぎて長針分のミスする時計
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鳥の目をあなたがしてる三角に目がつりあがり怒った瞬間
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枯れた葉も雨に唄えば気持ちよく散りゆき草木の養分
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ふと知った「秋の香り」は金木犀 いくつもの秋が数珠のように
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あなたにも私と同じ心がある そう思い込み百年が過ぐ
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君のこと知らない夜がやってきて 恋とか愛を飲み込んでゆく
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夏終わり母が作りし瓶詰めのさくらんぼジャム冷えて寂しげ
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まっしろい月の下なら僕たちも嘘をつけるしキスもできるね
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人見知る言葉使いの見習いが異国の店の三十一文字みそいちもじ
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