菊花添え 我の手見れば 八十の皺 靖国立ちて 夏の空見る
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在りし日を 想いそぼ降る 花の雨 温き御霊の 声とこしへに
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例えばさ 腹八分目がわからない いろんなことを私は知らない
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ラスイチのクッキーは乞う狂おしく トドメをさしてくれる勇者を
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ゆるりゆら人少なくていつもより高く弾んだお盆の電車
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誰を乗せ走る列車か君たちのテキサスロングホーンよとどけ
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生きるとは 教えて欲しい その意味を            尋ねて見たが 誰も答えず
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ジージーとミンミンと蝉が鳴きにけり「今日からお盆、でももう秋ね」と
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辞書を引くただそれだけのことだけで心の空を飛びゆく私
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火曜日の最終電車が輸送する心を亡くしたホモ・サピエンス
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発火点を一、否四・五度超えつつもなおあきらめで抑えこむ日々
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ひとつだけ もしも魔法が使えたら うまれる前に戻ってみたい
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永遠に大人になれないぼくの繭 せめて一度は羽化してみたい
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いつ捨てる? タイミングがよくわからない 今日も必死に押し込むプラごみ
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支援者か当事者なのかわからないあわいをそっと切り出して見る
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別れ際伝えたいこと絡まって右手が気づくポケットの穴
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ゆふぞらにはつかに見えし半月のおぼつかなくも思ふころかな
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どしゃ降りで『私はこれでもいいですよ』妻と部屋飲み 結婚記念日
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夏の恋シュールで少し儚くて放っておけば花火のように
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太陽の日差しをいっぱい浴びたからあなたの好きな向日葵になる
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新盆に 集いて交わす 想い酒 伯父の横顔 亡父を見る
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夕立て 蒸せるよしずで 雨宿り 雫かわして 見上げれば蝉
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亡き父を 慕いて巡る 故郷の 南風(まじ)空光り 浮かぶ眼差し
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ヒジキ刈る 凍えた母の 指に見た 深黒きシワ 温き御心
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ノーマン父の想いも知らぬ子に殉死を選び明治の武士かな
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しあわせになるのが下手な僕たちは惰性で生きて慣性で死ぬ
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知らない! と小さなきみが突き飛ばし月の裏側までぼくは飛ぶ
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「つきあってほしい」とメールした夜に僕は初めて煙草を買った
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ゆるゆると首を横に振る扇風機 お前も僕を否定するのか
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生ぬるい風、でも涼しげな音が鳴るだろう風鈴でもあれば
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