言の葉を削り削りて二十余年この後もまた削り続けん
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短めに切ってる手の爪 先が紫? ちょっとドキッと なんだ、ブドウか
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おいものパン トーストするのも面倒で バター風味マーガリン 厚めに塗りたり(バターは高い)
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アラームで起きられぬ朝 目覚ましは ねこ待ちくたびれ トテトテ、ニャーン
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指にが当たるの気付いたそれなのに絆創膏の世話になる夜
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べつの地域で生きのびましょう、、、(炭酸が水になるまで一緒にいたい)
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繕い物つくろいもの  母想わせるぬくい名が 付く家事もあると ほころび直し
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他愛ない質問からのキラーパス 欲しい子どもの数は言えない
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わが歌よ反面教師をご紹介 裸の王をとくご覧あれ
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韮、紋黄、露草、捩花、紅小灰 撫で斬りにして平安を得む
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夕立に駆け出しながら、これはもう天使のくせ毛発見大会
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桔梗咲く 細き青の花 床の間へ 一輪に挿す 静寂しじまのかたち
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鏡越しテレビ観ながら掃除する 返事しながらヌメリを落とし
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麦山の浮き橋に舞う赤とんぼ蝶にあらずば孤独なエフェクト
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左腕 いつしか筋肉ついていた そういや左で ねこを抱える
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腱鞘炎治りきらずとも ねこは抱く 一日のおわり 和みのひととき
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自分から撒いた毒で死ぬ草なのわたし生きる気力が欲しいの
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眠らない夜は自由になれるから。なんで私は生きているのか
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私には夫がいたのその時に早く出逢っていたらと崩れた
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好きですか?あの日くちづけくれたのは全て私の夢なのですか?
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保護前に買った楽器は奪われずそっと静かにささやく旋律
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複音の父の形見のハーモニカ吹きこなせずに買うクロマチック
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金の事考えたくない。百均でひとつ買うのに思案が長い
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陽を避けてセンチメンタルトラベラー、闇に紛れて月から土星
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雨が降る 九月四日に 長く降る ついに来たるか 憂いの秋雨
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平熱や部屋の気温は知ってるが 名前も生年月日も知らない
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「よく動き元気だねぇ」と目の前の ねこのしっぽに語りかけてみる
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繊維から流れる水の控えめな甘さが秋だ 豊水の秋
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あれは愛なんかじゃないのと言いながら柘榴ざくろの汁で袖を染めてる
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美しいと思うものだけ一心に集めたはずのがらくたの山
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